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映画や本やおいしいものについて

ヘイル・シーザー!@VOD


『ヘイル、シーザー!』特別予告編 オリジナル・バージョン

 

■あらすじ
テレビの台頭により斜陽がかってきたハリウッド。機体の超大作映画「ヘイル、シーザー!」の撮影中に、主演俳優のウィットロックが誘拐されてしまう。ハリウッドの何でも屋として面倒事を押しつけられているエディが解決に乗り出すが、他の俳優たちも次々にトラブルを巻き起こし…。

 

スパのVODにて。公開時に見逃していたのでラッキーでした。予告では煌びやかでワイワイしたハリウッドコメディ!という印象だったのですが、当時の赤狩りや東西冷戦、核危機などの背景をきちんと理解したうえで観賞したらなかなかに骨太な作品だったのではなかろうか…。まったく知識がなかったことが悔やまれます。トランボと合わせて観たら面白そう。

とは言えそんなに構えずとも十分楽しめるかと。劇中劇は華やかで美しく楽しく、まさにエンターテイメント。とくにディアナのプールのシーンと水兵さんの酒場でのタップダンスがとても良かった。そしてそんな華やかな役者たちが実は大根役者(訛りのシーンのベタベタなやりとりに笑ってしまった 笑)だったり清純派女優は実は…という裏側もあったり。銀幕の裏側の、何故だか憎めない悲喜こもごも。

そして、「裏の顔」はそれだけではなく…。ウィットロックが誘拐された理由は、まさにハリウッドの闇。俳優だけでなく裏方や、当時の映画界の社会的背景も描かれていて、こういうことを乗り越えたから今があるんだなあ…としみじみしてしまう。それでも彼らは銀幕を彩り、映画を作り続けてきたから今があるんだなぁ。

 

ベルリン・天使の詩@早稲田松竹


日本版予告篇 / ベルリン天使の詩 (ヴィム・ベンダース)

 

■あらすじ
ベルリンの街で人間の心の声に耳を傾けながら見守り続けて来た守護天使・ダミエル。親友のカシエルとともに今日見た光景を報告し合うのを日課としていたが、サーカスの舞姫・マリオンに恋をする。ある日、ダミエルの姿は見えないが、気配を感じることはできるという不思議な人間・ピーターに出会い、人間になったらどうかと薦められる。


パリ、テキサス」に続けての上映。この回からとても混み始めてびっくりした。ぎりぎり席が足りるくらいだったかな。上映直前の時間には連番で席を取るのは難しそうだったので、三連休中は整理券になりそうです。

序盤のモノローグや会話に至るまで非常に詩的で、もしやこれはめちゃくちゃ難解なのでは…と身構えていたのですが、中盤からは心地良く観賞できました。天使が決して万能ではなく、小市民に憧れを抱くというのが微笑ましくもせつなくて、とても良い。

サーカス、撮影現場、図書館と素敵な場所が盛り沢山。わたしは図書館や本屋さん等、本が集まる場所が大好きなので、図書館のシーンがとても良かった!目の前の本や資料に没頭する人達の心の内での囁き声が、静かな筈の図書館でざわざわと響き渡っているの、すてきだー。

本人役のピーター・フォークがとてもいい味を出していました。刑事コロンボを演じる有名俳優でありながら、実のところは元天使。空から降ってきた鎧を換金したダミエルの話を聞いて「随分安く売ったねぇ。俺の時は~」なんて語るくだりが面白かった。ジョブチェンジ時には鎧下取りシステムがあるんだな…笑 そして、まだ天使だった頃のダミエルにピーターがコーヒーがおいしいことや寒い日に手を擦り合わせると暖かいことを説明するシーンが優しさに満ちていてとても良い。その後、ダミエルがコーヒーを買って嬉しそうに飲んだり、手のひらを擦って喜んだりするのはささやかながらも名シーンだったと思う。

天使の頃はモノクロだった世界が、人間になった途端カラーになるのだけど、色付いた世界で目を輝かせるダミエルがとても可愛らしかったです。人間になった直後に空から降ってきた鎧で頭を怪我して血が出てしまうのだけど、血の付いた状態で生まれる=ヒトの誕生の瞬間を表しているのかなぁ。赤ちゃんだって血まみれで生まれるもんな…なんて思ったんだけど、どうなんでしょう。

映画の最後の「かつて本当にいた天使、安二郎、フランソワ、アンドレイに捧ぐ」と出るのも余韻たっぷりでとても良い。いい作品でした。

ベルリン・天使の詩 デジタルニューマスター版 [DVD]

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 ■関連リンク

シティ・オブ・エンジェル [Blu-ray]

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 リメイク版。未視聴なのだけど、ピーター・ホークがいないと思うとウーン…。

パリ、テキサス@早稲田松竹


「パリ、テキサス」Paris,Texas(1984西独・仏)

 

■あらすじ
4年間の失踪を経て、荒野に倒れていたところを保護されたトラヴィス。弟が迎えに行くが、トラヴィスは口を開こうとせず、失踪の理由も何をしていたのかも語ろうとしない。ようやく呟いた言葉は「パリ、テキサス」だった。空白の4年間、トラヴィスの身に何があったのか。


男の哀愁とその家族を描いたロードムービー。タイトルだけ知っていた作品で、初めての観賞となりました。ふんわりとした記憶で「テキサスで見つかった記憶喪失の男がパリ(※フランスの方)を目指すロードムービー」だと思い込んでいたのだけど全然違った。記憶の改竄おそろしい…笑 タイトルの「パリ」もフランスのパリだと思っていたのですが、テキサス州のパリのことだったのですね…!勘違いもおそろしい。笑

オープニングが最高。ざらついた地面、高すぎる空、無骨なギターの調べ。それだけでトラヴィスという男を描いているかのようで、あっと言う間に映画館の中が物語の空気に満たされていくのが心地良い。映画っていいものですね…しみじみ。BGMがギターだけというのもすごく良かった。この音色が本当にトラヴィスにぴったり。

ストーリーとしてはあまりに不器用なトラヴィスにやきもきすることも多かったのだけど、息子のハンターとの距離を縮めていく様は微笑ましかった。トラヴィスが学校へハンターを迎えに行くシーンでは、失敗や空回りしつつもようやく一緒に帰れて、道路を挟んだ歩道でお互いを真似ながら歩くシーンが可愛かったです。不器用なスキップかわいすぎか…!でも、前に進みながらも違う道を歩いていると解釈すると、少しせつないのだけど。それにしてもハンターくん、美少年だったなぁ。さらさらの金色の髪と少し小生意気な語り口調が可愛い。

ジェーンを探すトラヴィスとハンターが「男親と息子」という感じで和んだ。トランシーバーのくだりや、荷台で食事をするシーン(クリームチーズ+ポテトがすごくおいしそうだった…!)は冒険感があって良かったなぁ。赤い服もお揃いのようで可愛かった。(ところで最後のジェーンとのシーンは二人とも緑色の服だったのは意味があるのだろうか。補色…?)

そして元妻ジェーンの美しいこと!目元と唇がとってもきれいで見惚れてしまう。トラヴィスの語った過去の出来事を経てから、あの小部屋での職業に就いたのだと思うとなんだか苦しくなる…。そしてこの小部屋の「どちらかに灯りが向いているともう片方の姿が見えない」という設定がお見事。まさにこの二人じゃないですか…。

この作品、いわゆる「悪い人」がいなかった気がする。弟夫妻はトラヴィスを責めることはしないし、ハンターが同級生に「父親が二人ってなんだよ」なんていじめられることもないし、ジェーンの勤め先の黒服の男がトラヴィスを摘まみ出したり揉めたりすることもない。だから、ラストは歩いて行くトラヴィスに、「待って」と思わずにはいられなかった。世界は意外と優しいのに。でも、妻と息子への愛ゆえに彼の出した答えなんだよなぁ…。

パリ、テキサス (字幕版)
 

完璧な病室/小川洋子

 

完璧な病室 (中公文庫)

完璧な病室 (中公文庫)

 

 

■あらすじ

【1】完璧な病室
21歳にして不治の病に侵された弟を毎日見舞う「わたし」。病室にいる間は心穏やかに過ごせることに気付くが、最後の瞬間は徐々に近付いて来ていた。

【2】揚羽蝶が壊れる時
痴呆が進んだ祖母・さえを施設へ預けた奈々子。さえのいない家に違和感を感じながらも恋人と過ごしていたが、やがて変化が訪れ…。

【3】冷めない紅茶
学生時代の同級生の葬儀でK君と再会した「わたし」。Kくんの住まいに正体され、Kくんの妻が母校の図書館の司書であったことを知る。Kくんとその妻の関係に、「わたし」は徐々に魅了されていく。

【4】ダイヴィング・プール
両親の教会が営む孤児院で孤児たちと暮らす彩。同じ年の純に密かに恋心を寄せながらも、徐々に残酷な想いに憑りつかれはじめ…。

※ネタバレ含みます

kindleにて。デビュー作「揚羽蝶が壊れる時」含む初期短編集。物語と詩の間のような、不思議な世界が4編。物語というにはあまりに詩的で、詩と言うにはあまりに生々しい。特に食べ物が朽ちて行く表現がなんとも言えないほどリアル。淡々とした口調で生温さやぬめりを伝えてくるものだから、よりいっそう凄みがあってゾッとした。4作品ともに、そういう淡々とした狂気や女の情念みたいなものが籠められていた気がする。

「完璧な病室」では食べ物の描写が特に顕著で、夫の食べるビーフシチューと自分の体内から摘出した嚢胞を重ね合せるところや、弟が食べきれずに捨てられた食べ物が朽ちて行く様にゾワッとしてしまう。自分の嚢胞に似たシチューを食べる夫を眺めながら、食べることができなくなっていく弟を清らかなものとして見ていくあたり、少しずつ狂い始めているというか、静かなる狂気というか…。

揚羽蝶が壊れる時」は元は大学時代の卒業制作で執筆したものらしいのだけど、モラトリアムの終了を表しているのかなぁ。自分を庇護する祖母は老い、自分の身体に新しい命が宿り…という感じなのだろうか。痴呆の進むさえと二人で暮らす内、狂っているのはさえなのか、はたまた自分なのかと考え始めてしまうあたり、正常とそうでない状態の境界があやふやで怖かった。

「冷めない紅茶」は個人的に本作で一番良かったです。K君も司書もあちら側の人だったのかなぁ。ところでこの恋人の名前が「サトウ」なのは紅茶と関係があるのだろうか。サトウを徐々に疎ましく思うくだり、特に口の中を見せられて嫌悪感を示すシーンが印象的。それまでとくに何も思っていなかったのに坂道を転がるように何もかも受け付けなくなってしまうことってあるよねぇ…。余韻のあるラストもとてもよかった。収録順、これが一番最後だったらよかったのになぁ。

「ダイヴィング・プール」では主人公・彩が両親の営む孤児院で孤児たちと一緒に育てられながらも、里親の元へ引き取られて行く孤児の中でいつまでもそこに残り続けるうちに歪んでいく様を覗き見しているような不思議な心地で読み進めました。嗜虐的な嗜好に目覚めて、それを小さな子供に対して淡々と実行していく静かなる狂気がとても怖い。

久し振りに小川洋子のwikiを見てみたのだけど、初期作品だけあって、どの物語にも作者の半生が色濃く出ていたような気がする。目を通していると、見覚えのあるワードがいくつかあって興味深い。

アクロイド殺し/アガサ・クリスティ

 

アクロイド殺し (クリスティー文庫)
 

 

■あらすじ
村の大富豪・フェラーズ夫人が死亡し、医師のシェパードにより睡眠薬の過剰摂取が死因であると判定される。その夜、シェパードは村の名士・アクロイドに呼び出され、フェラーズ夫人が何者かに脅迫されていたと打ち明けられる。脅迫犯の名の記された手紙が送られてきたというアクロイドだが、その夜に刺殺され、手紙も消えてしまう。事件は迷宮入りかに思えたが、村に引っ越してきた変人の正体が名探偵・ポアロであることが判明し、推理を開始することに。

 
羽田詩津子訳の早川文庫版にて。年末に読んだ「そして誰もいなくなった」に続いて、2016年ラスト&2017年スタートともにアガサ・クリスティとなりました。年末年始に布団の中でぬくぬくと読むミステリは最高ですなぁ。

本作を読むのは十数年振り二度目。犯人は覚えていたのだけど、犯人以外は見事に何も覚えていなくて新鮮な気持ちで楽しめました。9割読み終えたあたりから一気に伏線を回収するのはお見事。犯人が分かっていても面白いってすごいなぁ。登場人物の小さな嘘(それも事件とは関係なさそうに見えるものばかり)をひとつひとつ紐解いていくことにより徐々に真実が明らかになる…という流れが爽快。憂いのあるラストも良いです。

これが90年前の作品ということが信じられないのだけど、1926年と言えば日本でも江戸川乱歩が台頭していた頃かと思うと、これらがリアルタイムで体験できるなんてミステリ的にはなんと幸福な時代だったのだろうかと…。

オチに関しては当時からフェア・アンフェア論争があったりしたようだけど、「登場人物の手記」という形で綴られているので、アンフェアとは言えないんじゃないかなぁ、と個人的には思っております。フェアかと言われると、それもウーン…という感じではあるのだけども。禁じ手のギリギリラインのすごいところを突いて来た作品だからこそ、未だに議論され続けるのではないかなぁ。

オリエント急行の殺人」も購入したのでこちらも楽しみです。もう終わってしまったけどアガサ・クリスティ半額セール有難かった!kindleはたまにこういうセールがあるので見逃せない。既に読んでしまった作品でも半額なら気軽に買えるし電書だと場所もとらないし、便利な時代になったなぁ。ありがたやありがたや。

ガール・オン・ザ・トレイン@シネ・リーブル池袋


映画『ガール・オン・ザ・トレイン』予告編

■あらすじ
夫と離婚し、失意の日々を送るレイチェルは、通勤電車の車窓から見える家に住む夫婦を眺めるのを日課にしていた。まさに理想の夫婦の二人を見ながら幸福な生活を想像するのを楽しみにしていたが、ある日、その夫婦の妻の不倫現場を目撃してしまう。さらにその妻は行方不明となり、死体となって発見される。現場付近に足を運んでいたレイチェルに疑惑の目が向けられるが、アルコール依存症のレイチェルは記憶が曖昧で、当時の状況を思い出すことができない。一体、レイチェルは何を見たのか――。

 

 渋谷での「幸せなひとりぼっち」からハシゴして観賞。11月頃に別の劇場で上映されていたものの、タイミングが合わず見逃していたのでありがたや~。新春早々縁起が良い。

主人公であるレイチェルがアルコール依存症で記憶が不確かな中で物語が進んでいくため、レイチェル本人さえも最後まで容疑者で在り続けるという新感覚アル中ミステリ。レイチェル、『理想の夫婦』の妻・メガン、レイチェルの元夫の妻・アナ、それぞれの3人の視線でエピソードが語られ、それぞれの抱える問題を描きながら物語が進んでいき、やがて事実が明らかに。男女6人の織り成す人間模様がラストに向けて収斂行く様はお見事でした。

主人公レイチェルのアルコール依存症が思っていたよりかなり深刻な状況で、ドリンクボトルにお酒を移し替えて駅で座り込んでチューチュー吸うシーンがめちゃくちゃが怖かったです。中盤で過去の行動が明らかになるとレイチェルに対して「これは実のところ殺ってしまっているのでは…?」と疑念を抱く始末。大晦日から元旦、2日とだらだらと呑み続けていたのだけど、思わず今日だけ自重しました。笑

これは完全にネタバレになるんですけどTom is Kuzu!!!!!!!!!!!!!トムはクズです(中学英語)!!!!!!!!の一言に尽きる…。どこまでもクズを更新していくトムの快進撃が止まらない。やっておしまいレイチェルさん!と思いきやアナのとどめが凄かった。アッそんなに…そんなに回すの…アッまだ回すの…お、おう…。最後にレイチェルとアナが視線を合わせたシーン、良かったなぁ…。

ゴーン・ガール」も見逃してしまっていたのだけど、本作が好きなら絶対に最高だと聞いてとても気になっている。観たい。

 

 ■関連リンク

ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)

ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)

 
ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)

ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)

 

原作本。


映画『ガール・オン・ザ・トレイン』特別解説映像“山村紅葉のサスペンスあるある講座”​

山村紅葉がサスペンスあるあるを解説する謎動画。開始秒の振り返り45度でもうだめだった。

 

幸せなひとりぼっち@ヒューマントラストシネマ渋谷


不機嫌じいさんが…!映画『幸せなひとりぼっち』予告編

 

■あらすじ
スウェーデンの集合住宅に暮らすオーヴェ。厳格で偏屈なオーヴェは、毎朝の「見回り」を日課にしていた。私道への自動車の乗り入れやゴミの分別、犬の散歩に至るまで、違反者は容赦なく怒鳴りつける。そんなある日、長年務めた勤務先をクビになってしまう。妻の墓に後を追うことを告げたオーヴェは自殺を決意するが、騒がしい住人たちのせいでなかなか実行に移せない。果たして、オーヴェの人生の行く末は…?

 

冒頭のレジ係にクレームをつけるシーンでのオーヴェの第一印象は、一言で言えば「厄介な老人」。こういう爺さん嫌だなあ…きっと嫌われているのだろう…と思いきや、同僚は気さくに話しかけているし、近所の人々も明るく声をかけている。何故?と思ったら、隣人の引っ越しをうっかり手伝って自殺に失敗してしまったり、なんだか妙に憎めない。徐々に微笑ましくなってきてしまう始末。

そして話が進むにつれて明らかになっていくオーヴェの過去。両親との別れ、生家の消失、失ってしまった友情、そして最愛の妻との別れ。どんな出来事が今のオーヴェを作り出したのか明らかになるにつれ、オーヴェの不器用さや実直さを知り、偏屈爺さんがどれほど愛すべき人物か思い知る…という流れがとても自然で凄く良い。

オーヴェはもちろん、ご近所さんたちがユニークなキャラクターが多くてとても微笑ましい。「デブの保温力」のシーンが最高でした。そしてねこがかわいい。大事なことなので二回言いますがねこがかわいい。あと、オーヴェがゲイや移民には決してそのことに対して辛く当たったりしないのもとても良かったです。オーヴェはそんなことより車の乗り入れやゴミ出しのルールの方が重要なのだ。そんなところが可笑しくて優しくて、とても良い。

最後の瞬間までオーヴェの根底にあるものは何一つ変わらないというのが凄く良かった。これまで出会った人から教わったことを不器用に一途に貫くオーヴェが切なくてやがて愛し。オーヴェの人となりを知った観客だからこそ、あのラストが染み入るのだろなぁ…。

車には明るくない(というか真っ暗闇)なもので、サーブとボルボのくだりがよくわからなかったのだけど、サーブVSボルボは一昔前ではスウェーデンの二大自動車メーカーでライバルだったそうです。そこを踏まえて見ると、オーヴェと古き友人とのやりとりがますます面白くなるなぁ。

決して派手ではないけれど、素晴らしき良作でした。この映画が2017年の初映画で良かったです。幸先の良いスタートになりました◎

 

■関連リンク

幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)

幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)

 

 原作本。映画にないエピソードも入っているようなのでたいへん気になる。