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罪の余白/芦沢央

 

罪の余白 (角川文庫)

罪の余白 (角川文庫)

 

 

一人娘の安藤加奈が高校のベランダから転落死した――大学で心理学の講師をしていた安藤聡は、ある日突然そんな報せを受ける。事故と自殺の両面で調べを進 めているという警察の言葉に愕然とする安藤。一体、娘の身に何が起きたのか、自分はなぜ娘の思いに気づくことができなかったのか。自分を責める毎日を送っ ていた安藤の元に現れたのは、娘のクラスメイトの少女だった。

少女に「加奈は遺書や日記を残していなかったんですか」と尋ねられ、そのまま二人で加奈の日記を探すことになるが、実はこの少女は加奈を死に追いやった人間の一人木場咲だった。

娘の日記を呼んで真実の一端を知り、娘の復讐を心に誓う安藤と、証拠隠滅に奔走する咲。やがて二人は、互いに真意を隠したまま心理戦を展開していく。

Wikipedia罪の余白」2015年10月3日 (土) 01:30(UTC)より

kindleにて


kindleの角川セールで購入。映画の予告を観て気になっていたのでちょうど良いタイミング!

初めて読む作者さんだったものの、最初のベタ(※闘魚)の描写がすごくきれいで、出だしの掴み完璧!読みやすい文章だったのでそのままスルスル読んでしまったー。

メインとなるのは学校で転落死した娘の死の真相を暴こうとする父親と、その娘の死の原因となったクラスメイト・咲の対決を主軸に置きつつも、スクールカースト発達障害等、現代社会の問題を内包するお話でこの時代独特の嫌なスリルのある作品でした。

早 苗(父親の同僚で軽度の発達障害アスペルガーのボーダー?)がもっと話の本筋に入り込むのかと思っていたので、その点だけは少し肩すかしだったかもしれ ない。人の心に付け入る狡猾的な咲と、愚直なほどに真っ直ぐ な早苗との対比も見たかった。あと欲を言えば七緒(咲が安藤の家を訪問した際に本名を隠すために勝手に名を借りたクラスメイト)も絡んで来たら面白かった なぁなどと思ったり…。同性同士だと争うベタというフラグはそこで回収されるの かと思ってしまった。

こういう話を読むとなんとはなしに 自分の学生時代と比較してしまうんだけども、この作品やここ最近で言われているようなわかりやすいカーストはなかったような気がする。運動部の子がモテる とかその程度はあったけども。いや、自分がカーストにさえ入れていなかった可能性もあるかもしれない…笑。でも、派手系女子グループでいじめというかハブ られるルーチンみたいなものがあって、そこからはじき出された子と一緒にご飯食べたり遊んだりしてたな。どれも一時的なもので、だいたい数日~長くても 一ヶ月くらいで元のグループに戻ってしまうのだけれど、当時はなんであんなクソみたいなグループに戻るんだろうな~と不思議に思っていました。たぶんそこ に所属しないとだめだったのだろう…しらんけど…。そういうのが悪化するとスクールカーストに発展していくのかなあ…。

そしてこの作品、現在映画公開中のようで!心理戦の多いお話だったけど、どんな感じなのだろうな…?あの感じを映像で表現するのはなかなか難しい気がする…。気になるー。