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映画や本やおいしいものについて

23年の沈黙@シネマカリテ

 

23年の沈黙 [DVD]

23年の沈黙 [DVD]

 

 ■あらすじ
23年前、長閑な農道。二人の青年がドライブの途中で自転車に乗った少女を見つけ、運転席に座った男は少女に暴行を加えた上に殺害してしまう。助手席の男は沈黙を守り、やがて犯人から逃げるように去る。それから23年後、同じ場所で同じ事件が起こる。唯一の目撃者であった助手席の青年は結婚し幸福な家庭を築いていたが、事件を知り愕然とする。23年前の事件を追っていた刑事のクリシャンと、新たな事件を担当することとなったクリシャンの息子・ダーヴィット、23年前の被害者の両親、新たな事件の被害者が時を経て交錯する。犯人の思惑は――? 

 @シネマカリテにて

 シネマカリテのオトカリテにて鑑賞。ミステリでもサイコサスペンスでもなく、群像劇、もしくは心理劇という仕上がりでした。それぞれの事情や過去を抱えた登場人物たちがすれ違ったり出会ったりしていくのが面白かったな。推理モノやサスペンスによくある「アーそっちに行ったらダメだ!」「そいつじゃない!」というハラハラ感もありつつも、人と人が出会い、それがそれぞれにおける触媒となれば何かが起きる、みたいなつくりがとても面白かったです。

群像劇でありながらも、鑑賞者としてはティモの目的は何なのかということを考えてしまうんですが、ティモはペア(23年前の被害者が「ピア」なのが少々ややこしい)に友情以上の執着を抱いていたようにも見えました。ティモが小児性愛者やただの殺人者には見えなかったんだよなぁ…。もちろん異常な殺人者であることに変わりはないのだけれど。殺人者という存在そのものが一般社会からは異端中の異端なのだけども、殺人者というカテゴリの中でも極めて特殊な場所に配されるというか、彼は彼で哀しい人間だったなぁと…。

ティモを筆頭に登場人物それぞれが何らかの闇を抱える中、妊娠中の刑事さんが唯一暗い色を持たないのが不思議でした。聖母というか聖域というか、彼女だけはずっと黒い面を描かれていなかったような気がする。

『ピエロがお前を嘲笑う』と同じ監督さんなのですが、この作品にもピエロが登場します。モチーフとして使いやすいのかな。『ピエロ~』は未来的な映像でしたが、こちらの作品の麦畑や資料保管室はノスタルジーを感じるほどに古いもので、こういう映像も撮れる方なのかーと目からウロコでした。

あと、娘が行方不明となった家庭で飼っていたハムスターが死んでしまって(娘を想うあまり完全に忘れていた模様…)、母親がそれをポイッとゴミ箱に捨てるのがなかなか衝撃だった…。でも海外だと金魚が死んじゃうと「水に返してあげよう」とトイレに流したりするらしいので、これが普通だったりするのか…!?

ところで今回のオトカリテというイベントがとても良いです。劇場未公開だったり、DVDスルーになってしまった隠れた名作を劇場で上映時用という企画!基本的にDVDでの上映となるため、チケットは僅か500円という超良心的価格。以前、7BOX(年間の映画制作本数が20本以下というパラグアイの作品で、スリルあふれる作品でとてもよかった)もこの企画で観たのだけど、そちらともども良い出会いになりました。やっぱり映画は映画館で観るのが一番楽しいし、こういうすてきな企画は本当にありがたい。ずっと続いて欲しい企画です。

 

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