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映画や本やおいしいものについて

月夜の島渡り/恒川光太郎

book

 

月夜の島渡り (角川ホラー文庫)
 

 

■あらすじ

沖縄を舞台にした7つの物語を収録。

弥勒節
人が死をを迎える臨終の床に胡弓を手に現れる老婆がいた。老婆の奏でる胡弓を聞くと、死の苦しみが消え去ると言う。ある夜、主人公は海辺で老婆からその胡弓を譲り受ける。

クームン
クームンと呼ばれる者の住処を見つけた主人公。靴を与えると願いを叶えてくれると言われているクームンに靴を差し出し母親の更生を願うと、少年の願いは本当に叶えられた。

ニョラ穴
酒に酔って男を殴って殺してしまった主人公は、兄貴分に助けを求める。遭難を装おうと工作のために無人島に向かうと、様子のおかしい男に出会う。

夜のパーラー
写真屋に勤める主人公が、仕事帰りに偶然見つけたパーラーに立ち寄る。看板娘は気立てがよく、話すうちに売春を持ちかけられてつい買ってしまう。しかし、ある日その店で殺人事件が起こる。

幻灯電車
子供の頃に家族で幽霊電車に迷い込んだ経験のある少女。それ以降父親が消え、別の男が家に出入りするようになった。ある日、姉にあの男が父を殺してくれたのだと打ち明けられる。

月夜の夢の、帰り道
両親と島の祭りを訪れた少年は、帰り道に怪しい女と出会う。女は少年の未来を告げる。そして、女の予言はその通りになって行き…。

私はフーイー
島に流れ着いた異国の少女・フーイー。動物に姿を変えるなど不思議な能力を持っていた彼女だが、島の住人たちと打ち解け、やがて結婚し子供を成す。しかし、明治の騒乱に巻き込まれて殺害されてしまう。それから半世紀後、一人の少女が自分がフーイーであったことを思い出す。

 沖縄が舞台とあって、どこか異国情緒漂いつつも日本らしい湿度の高い不気味さもある不思議な雰囲気でした。この作者さんの「夜市」にも見られるんだけど、現実と怪奇の狭間の空間の表現が凄い。「本当に在るのかもしれない」「本当に居るのかもしれない」と言う日本的な怖さでとても面白かったー!一気読みです。

ごく短い話が7本あるものの、偏りや似たような物語はなく、人間の怖さ、怪異の怖さ、自然の怖さがそれぞれ丁寧に綴られています。怖いけど綺麗、綺麗だけど怖い、独特の浮遊感のある怖さが癖になる。

沖縄行きたいなぁ。