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特別展 レオナルド・ダ・ヴィンチ――天才の挑戦@江戸東京博物館

 ■展示構成
第1章 自然と人間―直感と観察
第2章『鳥の飛翔に関する手稿』―人間の限界を超えた飛翔、自然と神への挑戦
第3章《糸巻きの聖母》―見えない世界を探る
第4章レオナルドの教え―ルネサンス期の工房とレオナルド・アカデミー

 

 

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 あいにくのお天気でしたが、両国の江戸東京博物館へ。こちらの特別展、ものすごく楽しみにしていたのに会期を3月からだと勘違いしていて完全に出遅れ た…。チケット購入に5分ほど並んだものの、入場待機列はなし。混雑はしていたけど一列でずらずらずら~っと見れて、全く進まないとか全然見れないとかそ ういうことはない感じです。同じ場所で催された関ヶ原展よりはるかにマシでした。あれは本当にリアル関ヶ原だった…。

本展示では、メイン の「糸巻きの聖母」に加え、真筆素描が7点、そして「鳥の飛翔に関する手稿」が展示されています。と言うとものすごく少ない気がしますが、ダヴィンチの残 した手書きの作品はごく少数であり、素描が7点揃うだけでも相当にレアなのだとか。ゆえに、ダヴィンチに師事した弟子を中心としたフォロワーたちによる作 品も共に展示され、後世に残した影響が分かるようにされていました。

 

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入口のこれ、遊び心ありすぎだろw

以下、展示順に気になったものなどを記してみます~。

■第1章 自然と人間―直感と観察

【肖像画】
教 科書で何度となく見たダヴィンチの肖像画が。ダヴィンチは美形だったので絵のモデルをよく頼まれていたのだとか。芸術にも学術にも秀でた上に美形とは点は 何物を与えたのかと。あと当時のモテの要素として「豊かな頭髪」が挙げられていたんだけど、ハゲの立場は当時からせつなかったのだと思って泣いた。

【花の研究】
絵 画のためのデッサンと言うより、植物学の研究のような精密さ。前に科博で観た牧野富太郎の企画展での植物スケッチを思い出しました。ダヴィンチは「一つ一 つのパーツを何度も描き、完璧に描いてから次の工程に進む」という制作過程をとっていたため、膨大な制作時間がかかってしまって未完成の作品ばかりになっ てしまったのだそう。

■第2章『鳥の飛翔に関する手稿』―人間の限界を超えた飛翔、自然と神への挑戦

【鳥の飛翔に関する手稿】
個 人的にはメインの糸巻きの聖母よりこちらがドツボでした。ファクシミリ版ということで原盤に限りなく近付けた複製がずらりと展示されていたのだけれども、 「古い紙に鏡文字で研究が記されている」というだけで萌えるじゃないですか…。厨二のみ持ちし邪気眼が疼くじゃないですか…(?)

風に煽 られた鳥はどうして飛び続けることができるのかと考えた結果、空気抵抗について考えるに至り、うっすらと揚力の存在に気付いていたっぽくてすごすぎる…。 解明はできなくとも500年前にその発想に至っただけでも…すごい…。飛行中に乗客の上半身を水平に保つにはどうしたらいいかということまで考えていて、 もう少し何かきっかけがあったら本当に飛行機が完成していたんじゃなかろうか。すごい(小並感)

■第3章《糸巻きの聖母》―見えない世界を探る

【糸巻きの聖母】
今 回の展覧会の目玉がこちらの油彩画。モナリザでも使われているスフマートというぼかし技法で描かれた聖マリアと幼子イエスの姿です。イギリス・エディンバ ラのスコットランド・ナショナル・ギャラリーより、実に77年振りに英国外に出されたのだとか。会場内にこの油彩画を間近で見るためだけの行列ができてい たものの、夕方ということもあってか10分くらいで観れました。

イエスが手に持っている糸巻=十字架のような扱いなのかと思いきや、糸 巻=運命を紡ぐ糸であり、過酷な運命に子供が向かって行ってしまわないように自分の方に抱き寄せる母親、という図だったらしい。あと、近年になって赤外線 で確認したところ画面の左奥に歩行器に乗せられる赤子の姿が描かれていたことが判明したのだとか。途中で塗り潰された理由は不明ではあるものの、おそらく 鑑賞者の視線が歩行器に向けられるのを避けるためではないかと言われているそうです。こういう絵の背景を知ることができるとますます面白いなぁ。

■第4章レオナルドの教え―ルネサンス期の工房とレオナルド・アカデミー
こ れまでに展示されていたダヴィンチの作品に影響を受けた弟子やフォロワーたちの作品が展示されていました。描かれた人物の視線や手の動きに心情や状況を描 くという、限られた画面の中で物語を作り上げるという手法が面白かったなぁ。絵画に隠されたストーリーなんて素敵すぎる。だがしかし解説して貰わないと全 く読み取れない…笑


以上で展示は終了。なのですが、出口とは逆側のところに小さな展示室が設えられていて、ダヴィンチがこれまで に手掛けた発明や建築の模型が飾られていました。ひっそりした場所だったので、この展示室に気付かずに会場を後にしてしまった人も多いのはなかろうか…。 この場所がすごく面白かった~!前例のないくらい大きな橋を掛けるにはどうしたらいいのかとか、氾濫してしまう河川の改修工事はどうしたらいいのかとか、当時にしてみたら魔法のような発想の数々がスケッチや模型とともに展示されていました。実用には至らなかったようだけど、飛行機の模型も見れました。

と 言う感じで非常に楽しかったです。美術の展示を見た、というより博物館に行ったような気分になりました。音声ガイドもわかりやすくてとてもよかった!ナビ ゲーターは生瀬勝久さんだったんだけど、すごくいい声で聴きやすかったなぁ。去年観た舞台(七人ぐらいの兵士@Bunkamuraシアターコクーン)でもいい声だなぁと思ったのですが、素敵な声にナビゲートしてもらえるとますます展示がきらきらして見えるね…。

あと、会場を出たところに置かれたPCで鳥の飛翔に関する手稿を画面で確認できるようになっていたのでめちゃくちゃ読んだ。片側に日本語訳が添えられていたんだけど、これがまた面白かった!冊子版が売っていたんだけど、買えば良かったな~。少々後悔。

 

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そして帰りに物販をチラ見。「鳥の飛翔に関する手稿」のポストカードだけは買おうと思っていたのですが、iPhoneケースがあまりにかわいくて思わず買ってしまった…。だってちょうど今使ってるやつにヒビ入ったし!!使うから!!!!!!!!衝動買いじゃない!!!!!!!!!!!!!11111(必死)

 

楽しかった~!まんぞく!夜から待ち合わせがあったのであまり長居できなかったんだけど、今度は常設展もゆっくり観たいなぁ。