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バベットの晩餐会@YEBISU GARDEN CINEMA


『バベットの晩餐会』 予告編

■あらすじ
19世紀のデンマークの小さな漁村。牧師の娘の マーチーネとフィリパは慎ましく穏やかに暮らしていた。若かりし頃は多くの男性に言い寄られたが、敬虔に暮らす事を選んだ二人は、年老いてもなお隣人に施 しのスープを与える日々を送っていた。そんなある日、パリの動乱により家族を失くしたフランス人・バベットがやって来る。メイドとして勤勉に働くバベッド だったが、ある時宝くじで大金を手に入れる。バベッドは牧師の生誕百年の晩餐会で料理を作らせてほしいと願い出る。

 デジタルリマスター版での鑑賞。初見だったので比較はできないのですが、最近の映画と比較しても遜色ないくらい見やすかったなぁ。古い映画なりの良さもあるけど、これはこれで素晴らしい技術だ…!

淡々としながらもほのかな可笑しみの漂うとても良い映画でした。上質な映画とはこういう作品を指すのではないかなぁ。ストーリーも映像も、丁寧に作られているのが鑑賞側にも染み渡ります。よきかな…。

豪華な食材(生きた海亀やウズラや牛の頭!)を手にしたバベッドを見て「魔女のサバトが始まるのでは…」と怯える住人たちがおかしくも愛らしい。それでもバベッドの行動を止めたり否定したりしないあたり、彼らの根底にある優しさや人柄が滲み出ていてとても良かった。

村人12人との晩餐会と聞いて、その人数からあの名画を思い出してしまって何かが起きるのではないかとドキドキしてしまったのだけど、そんなことはなく、美 しく香り立つような料理の数々の素晴らしいこと!それなのに、懸命に料理については触れまいとする村人たち。でもやっぱり、どうしても美味しくてフォーク は止められないしワインにも手が伸びてしまって微笑ましかった。

バベットが二人の姉妹の元へやって来たのも、料理がどんなに素晴らしいも のか理解している将軍が晩餐会の席にやって来たのも、姉妹が若かりし頃に彼らに出会ったからこそ。そして、二人が品行方正な存在であったから、パパンや ローレンスが彼女たちのことを忘れなかったからこそなのではないかなぁと思いました。

気になって調べてしまったのだけど、当時の1万フラ ンは現在の日本円に換算すると900万円になるそうです。つまり、あの料理は一人当たり75万円!?本物のフレンチというのは大変なものなのだなぁ…。贅 を尽くした料理を贅沢に食べてこそなのかもしれないけど、とりあえず私はその100分の1くらいの値段のちょっとしたコースを食べたいです。笑