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映画や本やおいしいものについて

團菊祭五月大歌舞伎(夜の部)@歌舞伎座

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■演目
開場 16:00 / 開演 16:30
勢獅子音羽花籠
三人吉三巴白浪
時今也桔梗旗揚
男女道成寺


@3階10列中央より

念願の歌舞伎観劇デビューを果たしました~!ものすごく面白かった!以下、ド素人による感想です。

まず前提として、歌舞伎の知識はほぼゼロの状態。時代背景さえさっぱりで、何冊か時代ものを読んだ程度の知識のみ。今回出ている役者さんも名前と顔が一致するのは海老蔵さんのみという無礼極まりない状況。急遽お譲りいただいたチケットだったので公演前での2日間はググりにググって出演者やらあらすじやらを漁りました。付け焼刃…!とはいえこれだけでは心許ないので筋書き(パンフレット的なもの)とイヤホンガイドを借りた方がよさそうだ、とあらかじめ把握していざ歌舞伎座へ。

 

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ちょっと早めに到着して、タワー内を見学。歴代の役者さんの画像なんかもありました。勘三郎さんや団十郎さんがここに並んでいるのはまだちょっと悲しくなっちゃうね。ぐるっと一周して再び下に戻ってきた頃にはちょうど昼の部が終わる時間だったので歌舞伎座前はお客さんでいっぱい。着物の方もたくさんおられて華やか~!チケットを譲って下さった方がとても親切な方で、あれこれ教えていただけてとても助かりました。ありがたや…!たいやきは3階下手!たいやきは3階下手!!いただいた大事な情報を胸にいざ入場!

 

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イヤホンガイド(開場前に劇場外で貸出開始していた)と筋書き(こちらは開場後に購入)を手に入れて席へ。3階の中央だったのでとても見やすかったー!花道の全景は無理ですが、スッポン(花道で立ち止まって演技をする場所)はばっちり見えました。ど真ん中だったので舞台全体が見渡せて、初心者にはとてもありがたい席…!

■勢獅子音羽花籠

舞台は吉原、花見の場で曾我祭の真似事をしようということになり…というわけですごく華やか!2枚の扇子を蝶に見立てて踊る芸妓とか、パキッと格好良く舞 う鳶の男たちがもう綺麗で綺麗ですごい。中でも獅子舞がものすごく格好良かったー!最後にパンッと中から出てくるところがめちゃくちゃ格好良い…あそこた まらん…。


イヤホンガイドのナビゲートがかなり的確。遠くから見ているので誰が誰やらも分からないのですが、出演者の登場に合わせて名前を教えてくれるのでとても助かりました。あと、色の和名を教えてくれるのがすごく助かった!朱鷺色ってあんなに鮮やかな色なんですねぇ。現物の色を見るとイメージがかなり変わったし、目で見て、しかも本物の布地を見れたのがすごくありがたかった。おもしろいなぁ。

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場の盛り上がりも最高潮に達したところで、菊之助さんの長男、和文くんのお披露目。こういう場面は何度かニュースで観たことがあったのですが、こうやっておめでたい演目と兼ねていたのかー。花道からお父さんに抱っこされて登場。ちっちゃな袴がからちょこんと覗くもっとちっちゃな足袋がかわいくてかわいくて…!今日は少しおねむだったようでで、お父さんも「眠い…のかな…?」とフォロー。口上を言うはずだったようなんだけどそれもちょっと難しそうで、両手で顔を隠してイヤイヤモード。代わりにお父さんから「ま海のものとも山のものともだ知れませんが…」とご挨拶していたのだけど、2歳なんて毎日同じ時間に衣装着て人前に出るだけですごいよな~。

でも三本締めは上手にできてました。帰る頃にはちいさいお手手をフリフリしてご機嫌になっていてとてもかわいかった…!客席がワァッとなるのが面白いのかなー。手を振るのは好きなようで、はにかみながらにこにこしていました。あまりの可愛らしさに会場全体がふわっと優しい雰囲気でいっぱいに…笑

●幕間①

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最初の幕間は25分。チャキチャキ移動して噂のおめでたい焼きをゲット。紅白の白玉がモチモチで柔らかくて美味しかった~。これは美味い…!ゆっくり食べた後は3階を少し散策。お土産屋さんはたくさんあるし、トイレも目立った混雑もなく快適に過ごせました。25分は長いなぁと思っていたのですが、筋書きを読んだりしていたらあっと言う間に上演5分前。

三人吉三巴白浪
「こいつぁ春から縁起がいいわい」の元ネタの台詞が聞けて感動。歌舞伎だったのか~!それさえ知らんかった!!ちょうどこの台詞が始まる前に大向こうさん(成田屋!とか声かける人)が\待ってましたぁっ!/って言ってて、絵に描いたように綺麗なタイミングですごかった。こうもきれいに決まると気持ちがいいものですねえ。

ストーリー的には悪人もの(?)なんだけど、すごく格好良かった~!悪役同士の刹那的な出会い、格好良すぎです!殺陣っぽいシーンはデフォルメされていてなんだか漫画みたいな表現方法だなーと。

 

後から調べてみてこちらのブログがとても参考になりました。ごくごく短い言葉の内に季節や感情や語る者の人生観まで籠っていてすごい。そして言葉の美しさも素晴らしい。日本語ってすごいなぁと改めて思った次第でありました。

●幕間②
今度の幕間は30分。今度はふらふらと歌舞伎座内を一周歩き回ってみました。注文したお弁当はこの一番長い幕間に受け取るのね。桟敷でお弁当なんてとても豪勢ですてきだなぁ。スパークリングワインもあったりなんかしてものすごく惹かれたのだけど風邪気味で風邪薬を飲んでいたので自重しました。ウッ無念…。

お土産屋さんを覗いたりふらふらしてから早めに席へ戻って筋書きを確認。なんとなくイヤホンガイドを装着してみたら、何か喋っている…?どうやら幕間は次の演目のことを解説してくれていたらしい。多分これ、前の幕もやってたんだろうけど全然気付かなかった…。全く気付かずに外しちゃってたよー。

■時今也桔梗旗揚
小田春永(=織田信長)に仕える武智光秀(=明智光秀)のお話。名前をもじっているのは、当時「過去の武将をネタにした上演をするのは無礼である」という指摘があったからだそう。…というのを、前日に行ったBunkamura国芳&国貞展で知りました。タイムリーだった…!

筋書きでオチまで目を通していたので、ストーリー自体にそんなに心を動かされることはないだろうと思っていたのですが…甘かった。春永がすごく嫌な奴で!!!!はよ本能寺で焼かれてしまえ!!!と思いながら見てしまった。いや史実上で焼かれることは知ってるんだけどもう一分一秒でも早く火を放ってほしくて…笑

 

歌舞伎はのストーリーは難解で簡単には理解できないのだろうと思っていたのですが、台詞の言い回しとかそういうものを超越して物語に入り込めてとても面白かった。三方を踏み砕くシーンが格好良くて好きです。む、むねあつ…!!

●幕間③
今回は15分だったので席でのんびり手元の筋書きを鑑賞。先ほど学んだのでイヤホンもつけっぱなしにしてふむふむと耳を傾けておりました。

■男女道成寺
清姫は知ってる!嘘つき絶対に焼き殺すガールだ!!という前知識(参考:安珍・清姫伝説 - Wikipedia)があったので一番バックグラウンドを理解した上で鑑賞できたかもしれない。ありがとうFGO。

くりくり坊主の所化たちがかわゆかった。上手下手にちょこんちょこんと並んでいる様子や、一番小さい子のでんぐり返りもソーキュート!

そして何より、次々に変わる衣装の美しいこと!ぱっと花が咲くように次々に華やかな衣装が見れてすごく楽しかったです。最後の鐘のシーンも素晴らしかった~。

そんなこんなで人生初の歌舞伎鑑賞は幕を閉じたのでした。お、お、面白かった…!思っていたほど敷居は高くなくて、衣装から音楽からストーリーにいたるまでものすごく楽しめました。着物ってきれいだなぁ、日本語ってうつくしいなぁ、日本っていいなぁと改めて思った次第。幕見席にいた外人さんが「Very exciting!!!!!!!!!!」って言っててほんとそれな!!!!わかる!!!!!って感じでした。また行きたい~!

 

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あとこれ、思わず買ってしまった和菓子。5月らしくて良いなぁ。中は抹茶餡でほっくり美味でした。鹿児島新茶といただいて至福。美味しく楽しく美しく、どこをとっても楽しめる歌舞伎はすごい…!