■あらすじ
私立探偵の佐伯は、姉を強姦殺人事件で失った過去を持つ。依頼を受けながら、姉の事件の加害者である元少年三名を探し続けていた。そんなある日、とある老夫婦から11年前に息子を殺し出所した男を探し、赦すべきか判断してほしいとの依頼が舞い込む。やがて探偵事務所は出所後の加害者のその後を調査する追跡調査業務を請け負うようになり…。
面白かった…!!一章の終わり方がとても良くて、それから続きが気になってグイグイ一気読み。刑期を終えた後の加害者が果たして更生をしているのかだとか、そもそも何を以て更生とするのかとか、そういうことを考えると更生とは何なのかとぐるぐる考えてしまう…。
佐伯はもちろん大人と言える年齢なのだけど、どこか危うさもあって、姉を亡くした時から成長できなかった部分もあるのかなぁと。その一方で、佐伯の周りにいる「大人」の成熟していたり達観していたりする人々の存在感がとてもよかった。佐伯の一人称で語られることもあって、軽薄そうという印象だった人がずっと大きな視点で見守ってくれていたことに気付かされたりだとか、そういう描写もとてもよかったです。
辛かったり息苦しかったり重かったり…という出来事がいくつも連なる話ではあるものの、最後には一筋の光のような救いが見えたのも良かったなぁ。