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シャイロックの子供たち/池井戸潤

シャイロックの子供たち (文春文庫)

シャイロックの子供たち (文春文庫)

 

■あらすじ
小さな町のとある銀行の支店が舞台。必死に数字を追い求めるあまり部下に手をあげてしまった副支店長、営業成績が上がらず苦しむ営業社員、家計の苦しい中社内恋愛に溺れるOL…さまざまな思いの渦巻く社内で、百万円もの現金紛失事件が起こる。その事件を引き金に、ひとりの行員が失踪し――。舞台となる銀行に勤める十人の行員の視点から綴られる群像劇。

評価に血道を上げる内、すっかり自分を見失ってしまった銀行員の日常をそれぞれの視点から綴った短編集。と思いきや、見事なミステリ仕立ての連作でした。正直なところ銀行の仕組みは良く分からないし、対個人ならまだしも対法人となるともうさっぱりわけがわからない世界だったのですが、わかりやすく描かれていてとっつきやすかった。

ゆるゆるのふわふわ会社に勤めるぐだぐだ社員の身としては、銀行勤務の厳しさに震えるしかなく…。数字目標もこんなにガチガチだと嫌だなぁ。本末転倒になってしまっているし、会社全体の成長としては意味がないと思うのだけど、会社自体がそういう体質なのだろうな…。なんか、公務員と一般企業の凝り固まった駄目なところを凝縮したような企業体制だ。こわいこわい。

序盤に出てきた人が実は…とか、そういう展開が多くて、ミステリ&人間ドラマな展開がすごく面白かった!半沢直樹の原作の方らしいので、そちらも読んでみたいなぁ。あんなに流行っていたのにドラマの方は見たことないんだ…笑