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クリーピー/前川裕

 

クリーピー (光文社文庫)

クリーピー (光文社文庫)

 

■あらすじ
大学で犯罪心理学の教授として勤務する高倉は、ある日、高校時代の同級生である刑事の野上から一家失踪事件の分析を依頼される。時期を同じくして、高倉の身辺で妙な出来事が起こる。ゼミ生がストーカーに遭い、向かいの家から火事が起こり、ついには野上が失踪する。やがて個々の事件は不気味な隣人・西野へ集約していき――

映画版を観てから気になっていたところ、kindleでまさかの半額セールだったのでほいほいと購入。個人的には映画よりかなり好みだった!というかもはや全然違う話です。完全に別物として楽しみました。

映画はサイコスリラーという風情だったのですが、原作はサスペンスからのミステリーという感じ。高倉の視点から淡々と綴られる物語の行きつく先が気になって ページを繰る手が止まらなくなるくらい面白かった。野上の行方や、ゼミでの問題などが集約されていくものの、「誰」が「何の目的で」というところがなかな か明かされず、ミステリ的にもすごく楽しめました。もちろん西野の異常性も怖いのだけど、それよりもどのような終末を迎えるのかが気になって気になっ て…!

とある場所で西野に遭遇したときにあまりにも人相が違っていて本人か一瞬戸惑うという描写があったのですが、人の顔ってそんなに覚 えていられないものなのかなあ…と思ってしまったのだけど、そこがまだ西野の怖いところなのかな。少女が大人になってメイクをするようになってすかり別人の顔に…というのはわかるのだけど、50過ぎのおじさんがそこまで見た目の印象が変わるものなのかな。…と思ったんですけど、わたしもメガネをかけていただけで気付かれな かったことはザラにあるのでそういうものなのかもしれない…笑

そしてこのお話、ラストが秀逸。思いもよらなかった人が悲しくも関連していたことが明らかになるものの、優しい余韻のある終わり方がとてもよかったです。面白かったー。続編?のような作品も出ているようなので、気になる。

クリーピー スクリーチ (光文社文庫)

クリーピー スクリーチ (光文社文庫)