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レジェンド 狂気の美学@ヒューマントラストシネマ有楽町


映画『レジェンド 狂気の美学』予告編

 ■あらすじ
1960年代初頭のロンドンでは、双子のギャング・クレイ兄弟が街を支配していた。兄・レジーは運転手の妹・フランシスと恋に落ち、ナ イトクラブの経営に重点を置き徐々に堅気に戻ろうとするが、暴力的な弟・ロニーがそれを阻む。ロニーの破滅的な行動により、組織には徐々に亀裂が入り始め…。

もっと血生臭いバイオレンスがあると思っていたのですが、想像していたよりずっとスマートな画面でした。まずは何につけても主演の トム・ハーディ一人二役で双子を演じていたのですが、別人のようでした。何故声まで全然違うのか…と思ったら、口の中に器具を入れて輪郭を変えていたのだとか。ちょっとした所作に至るまで本当に別人のようで、役者さんって凄いなぁ…と改めて思った次第。

そんな風に双子は喋り方はもちろん、嗜好に至るまでそれぞれの個性があるのですが、そこから人となりが見えてくるようで面白かった!レジーは煙草でロニーは葉巻、レジーは人前で物を食べないがロニーはよく食べる…と言うような対比も面白かったです。

おそらく二人が血の繋がりのない他人だったらレジーはロニーの振る舞いを許さなかったと思うのですが、二人で生きていくことを選んだのは、劇中で明言されていた通り、 片割れだからゆえなのでしょう。でもこれは単に兄弟だからというよりも、双子=もう一人の自分、という意識もあったのではないかなーと言う気がしました。ゆえにパーティのシーンの「お前は殺せないからな」に繋がるのかな...と思ったり。レジーの根底にあるのはアウトローな凶暴さであって、結局それを手放せずに堅気にはなれない(=ロニーは手放せなせずフランシスを失う)ということ…?と思ったり。…と、あれこれ考えると面白いです。

そう言えば、この二人を見ていて、マリアビートルの蜜柑と檸檬を思い出し ました。あのコンビもこの二人とはまた違う方向にいかれてたけど、何故か憎めない不思議な二人だったんだよなぁ…。法的にもアウト、人としてもアウトなの は確かなのだけど、なんだか妙な魅力を感じてしまうんだよなー不思議。

あと、レジーママのフランシスへの嫁いびりがなんとも日本的…というかどの国でも 嫁いびりってこういう感じなのかと笑ってしまった。「紅茶も淹れられないの!?」「インコみたいな服を着て!」って日本でも言ってそうだようねえ…。まさ かこの映画で昭和時代から連綿と続く典型的な嫁いびりを目にするとは思わなかった。笑

映画館の女子トイレで、「クレイ兄弟どちらが好き?もしくはテディくん?」という投票をやっていたのですが、ダントツ人気がレジーで次いでテディくん、最下位がロニーという感じでした。わたしは結構ロニー好きだったんだけどなぁ。