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あやつり糸の世界@早稲田松竹


ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督が手掛けた、多層世界が登場するSFサスペンス!映画『あやつり糸の世界』予告編

■あらすじ
未来研究所ではスーパーコンピューターで1000人の人々が暮らす仮想現実を作り出し、未来に何が起こるか予測する「シミュラクロン」の開発が行われていた。そんな中、開発主任が急死し、急遽シュテイラー博士が後任に抜擢された。そんな中、保安課長のラウゼが衆人環境の中突然姿を消すと言う事件が起こる。しかしある日、シミュラクロンの仮想現実世界に入り込んだシュテイラーの前にラウゼが現れる。

1973年にドイツでテレビシリーズとして放映されたものを映画版の前後編として再構築したもので、マトリックスで知られるバーチャルリアリティ設定の始祖となっている作品とのこと。43年前に描かれた「未来」の話です。

序盤は展開がゆるやかで、舞台やヘアメイクや衣装が可愛いなぁ、と本筋とは逸れたところに夢中になってしまいました。がっつりアイラインに上下ばっちりつけまつげにミニワンピとか、すっごくかわいい。でも、がっつりメイクのお蔭で女性陣の顔の区別がなかなかつかなかったのはわたしだけだろうか…笑 でも衣装もメイクもとてもかわいい!そして当時つくられた「未来っぽい」セットも素敵でした。未来っぽい色と言えばやっぱり銀色なのですが、それとともにオレンジ色がよく使われていた気がします。少しチープにも見えるんだけど、そこがまた魅力的でした。

全編は世界感を見せつつゆっくりと進行していくものの、後編になるとストーリーは一気に展開。自分たちもシミュラクロンのようにもう一つ上の世界から管理されているのでは…ということに気付いてしまったシュテイラー博士は果たして狂人なのか、はたまた世界で一番最初に真実を知った人間なのか否かを明らかにしていくという流れがとても面白かったです。2016年の今見ても面白いSF作品だと思えたので、当時は凄かったんだろうなぁ。

多重世界である以上、あのエンディングの世界の先にもまた別の世界が…と思うと少しゾッとするラストで、ぐるぐる考えてしまう。噛めば噛むほど味の出る良い映画でした。