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映画や本やおいしいものについて

お見世出し/森山東

book

 

お見世出し 角川ホラー文庫

お見世出し 角川ホラー文庫

 

 ■あらすじ

【1】お見世出し
同僚に舞妓遊びに誘われた主人公が小梅という舞妓からお見世出しの話を聞く。30年前に死んだ舞妓・幸恵と瓜二つであった小梅は、幸恵が使うはずだった名前をつけられ、さらには幸恵の霊を呼び出して一緒に舞妓になるように店の女主人に懇願されてしまったのだと言う。

【2】お化け
元 OLの舞妓・弥千華の働く置屋には、そこには病気により成長が止まっている小母や、人死にのあった井戸のある少し奇妙な場所だった。意地悪な先輩舞妓の新 入りいびりに辟易していた頃、舞妓が仮装をしてお座敷を回る「お化け」という行事を行うことになるが、招かれざる客が現れ…。

【3】呪扇
京都の扇屋「杉一」の跡取りになった要三は、今際の際の仙台から「呪扇」にまつわる話を遺言として託される。日露戦争の際、災いをもたらす地獄の扇を作るよう帝国陸軍に依頼され、呪扇を作ったのだという。その恐ろしい材料に要三は戦慄する。

 @kindleにて

夏だ!ホラーだ!角川ホラー文庫だ!という感じのkindleセールで発見して購入。舞妓の一人称の一人語りなんて大好物すぎます。舞妓ということでてっきり江戸時代の話かと思ったのですが、現代のお話でした。京都を舞台とした短編集で、それぞれ舞妓二人と扇屋の跡取りが語り部となっています。

三作ともに日本特有の怖さが秘められていて面白かったです。「お見世出し」は日本ホラーだったのだけど、「お化け」でパニックムービー感が出てきて、「呪扇」では完全なるスプラッタという感じで徐々に動的な方向に変化していく不思議な短編集でした。舞妓+ホラーと言うと静かに迫る怖さとか情念とかそ ういうイメージがあったのだけど、これは予想外。

個人的には呪扇が一番好きでした。この時代特有の狂気が滲み出ていて、昭和初期エ ログロバイオレンスの変化球という感じで面白かったです。面白かったというとちょっと語弊があるけれど、こういう都市伝説のようなお話ってすごく魅力的。 京都で扇屋さんに行くときはよからぬ妄想をしてしまいそうです。