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映画や本やおいしいものについて

無垢の祈り@アップリンク


映画「無垢の祈り」予告篇#3.1ver. [Innocent Prayer Movie Trailer#3.1]

 

■あらすじ
学校で虐めを受け、家庭では義父に虐待を受ける少女・フミ。夜の仕事をする母親は神に祈るばかりで助けてはくれない。そんなある日、フミの住む町で連続殺人事件が発生する。殺人現場を巡るようになったフミは、そこに「アイタイ」とメッセージを残し始める。虐待の加速していく中で、フミの想いは届くのか――。

原作読了済。水曜のサービスデーに行こうと思いつつ月曜になんとなく確認してみたところ、公開から一ヶ月近く経っているというのに7割近く埋まってしまっていて慌ててチケットを購入しました。案の定当日には完売。すごい。連日盛況のようで、じわじわと公開が拡大されている模様。

まずこの映画、扱っているテーマがテーマというのもあるのですが、画面からのストレスがすごい。緊張感を通り越してストレスを感じる…。舞台は川崎あたりの工業地帯ということもあり、重苦しい工場から響く鉄の音がなんとも不気味。家の中のDVシーンだけでなく、ごく日常のシーンでもフミの乗る自転車が大きなトラックのスレスレをすれ違ってヒヤリとしたり…と、いつフミが死んでしまっても不思議ではないと思えてしまう異様な空間でした。

原作は父親より母親との関係の方を強く描いていたような気がしたのですが、映画では父親の方が濃く扱われていたかと。BBゴロー演じる父親が非常に怖かった…。お風呂の中で向かい合ってフミに語りかけながらぱしんぱしんと軽い調子で、けれど確実に痛みを与えるように頭を叩く動きが人を殴り慣れている感じでとても怖い。上映後の舞台挨拶で劇中の白いタンクトップにハーフパンツ姿で現れたらしいのですが、あのエンディングの後にそんな姿で出て来られたら死ぬほど怖いよ!笑

性的虐待や殺害描写はどのように描くのかと思いきや、性的虐待のシーンは人形を使ってそれを外側からフミが見ているように描いていました。人形の黒子は未来のフミなのかな。平屋の民家の中で殺人犯の死刑執行のニュースを流しながら首を吊ろうとしていたのは未来の姿なのだろうかと思うといたたまれない。

あと、フミが自分の頭に貼っていたガーゼの匂いを嗅ぐシーンがあるんですが、その後に死体発見現場に行って地面の匂いを嗅ぐのは「自分のものと同じ血の匂いを見つけた」ということで良いのかな。血だまりのあった場所に安心したようにやせっぽちの身体で寝転がるのが何とも悲しい。

原作の方が救いがあるという印象でした。殺人犯がもっと得体の知れない存在として描かれていて、ふみにとってある種の「神」が現れたラストシーンがとても印象深かった。ちなみにあちらはフミの名前は「ふみ」とひらがな表記だったのだけど、映画では意図的にカタカナ表記にしたのだろうか。原作小説とこの映画、それぞれ異なる形での少女への救いの物語だったのかな。

■関連作品

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

 

原作はこちらに収録されています。

ddnavi.com昨年9月、映画完成直後の記事です。公開まで一年かかったか…。