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裸足の季節@早稲田松竹


映画『裸足の季節』予告編

■あらすじ
イスタンブールから1000キロ離れた小さな村で暮らす五人姉妹は、早くに両親を亡くし祖母の元で育てられていた。美しく成長した姉妹だったが、彼女たちの自由な振る舞いが厳格な伯父の逆鱗に触れ、家に閉じ込められてしまう。封建的な村の思想の元、一人、また一人と伯父の決めた結婚相手の元へ嫁がされていく。末っ子のラーレはそんな状況に反発し、家からの脱出を試みる。

タイミングが合わず見逃していたところ、早稲田松竹にて上映が決まって大喜びで出かけました。同時上映「すれ違いのダイアリーズ」の後に鑑賞。


キービジュアルと予告から「ヴァージン・スーサイズ」を連想していたのですが、それとはまた異なる少女たちの絶望の物語。物語は終業式を終えた少女たちが解放感の中で友人の男の子たちと海ではしゃぐシーンから始まります。きらきら輝く水滴と光の中で笑い合う少女たちはほんとうに美しくて、未来は無限にあるように見えるのですが、家に閉じ込められた彼女たちの生活は息苦しく暗いものになっていく…というオープニングからの落差がすごい。

原題はMustang。古い慣習と厳格な伯父に自由を制限されながらも抵抗をやめなかった姉妹たちはまさに野生の馬。長女ソネイは恋人との結婚を手配させることに成功。次女セルマは初夜の晩に処女ではないと疑われて運び込まれた病院で医師に「世界中の男と寝た」と悪態をつく。三女エジェは自らの命を断つ。四女ヌルはラーレとともに逃げる決意をする。そして五女ラーレは車の運転までして脱出計画を決行する。嫁ぐことを決意した子も、それぞれの方法で逃げ出した子も、ひとりひとりが言いなりになりきらず、一糸報いたのだと思います。

絶望的な世界でも少女たちが美しくて、それがまた泣ける。逃げ出したラーレとヌルの未来が明るいものであることを願わずにはいられないのだけれど、どうなるのかなぁ…。