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映画や本やおいしいものについて

幸せなひとりぼっち@ヒューマントラストシネマ渋谷


不機嫌じいさんが…!映画『幸せなひとりぼっち』予告編

 

■あらすじ
スウェーデンの集合住宅に暮らすオーヴェ。厳格で偏屈なオーヴェは、毎朝の「見回り」を日課にしていた。私道への自動車の乗り入れやゴミの分別、犬の散歩に至るまで、違反者は容赦なく怒鳴りつける。そんなある日、長年務めた勤務先をクビになってしまう。妻の墓に後を追うことを告げたオーヴェは自殺を決意するが、騒がしい住人たちのせいでなかなか実行に移せない。果たして、オーヴェの人生の行く末は…?

 

冒頭のレジ係にクレームをつけるシーンでのオーヴェの第一印象は、一言で言えば「厄介な老人」。こういう爺さん嫌だなあ…きっと嫌われているのだろう…と思いきや、同僚は気さくに話しかけているし、近所の人々も明るく声をかけている。何故?と思ったら、隣人の引っ越しをうっかり手伝って自殺に失敗してしまったり、なんだか妙に憎めない。徐々に微笑ましくなってきてしまう始末。

そして話が進むにつれて明らかになっていくオーヴェの過去。両親との別れ、生家の消失、失ってしまった友情、そして最愛の妻との別れ。どんな出来事が今のオーヴェを作り出したのか明らかになるにつれ、オーヴェの不器用さや実直さを知り、偏屈爺さんがどれほど愛すべき人物か思い知る…という流れがとても自然で凄く良い。

オーヴェはもちろん、ご近所さんたちがユニークなキャラクターが多くてとても微笑ましい。「デブの保温力」のシーンが最高でした。そしてねこがかわいい。大事なことなので二回言いますがねこがかわいい。あと、オーヴェがゲイや移民には決してそのことに対して辛く当たったりしないのもとても良かったです。オーヴェはそんなことより車の乗り入れやゴミ出しのルールの方が重要なのだ。そんなところが可笑しくて優しくて、とても良い。

最後の瞬間までオーヴェの根底にあるものは何一つ変わらないというのが凄く良かった。これまで出会った人から教わったことを不器用に一途に貫くオーヴェが切なくてやがて愛し。オーヴェの人となりを知った観客だからこそ、あのラストが染み入るのだろなぁ…。

車には明るくない(というか真っ暗闇)なもので、サーブとボルボのくだりがよくわからなかったのだけど、サーブVSボルボは一昔前ではスウェーデンの二大自動車メーカーでライバルだったそうです。そこを踏まえて見ると、オーヴェと古き友人とのやりとりがますます面白くなるなぁ。

決して派手ではないけれど、素晴らしき良作でした。この映画が2017年の初映画で良かったです。幸先の良いスタートになりました◎

 

■関連リンク

幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)

幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)

 

 原作本。映画にないエピソードも入っているようなのでたいへん気になる。