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魔女は甦る/中山七里

 

魔女は甦る

魔女は甦る

 

 

 ■あらすじ
埼玉のとある集落で肉と骨が飛び散った凄惨な遺体が発見され、埼玉県警の槇畑が捜査に乗り出す。遺体は近隣の製薬会社に勤務していた研究員・桐生であることが判明するが、犯人の糸口は一向につかめない。さらに同じ地域で嬰児誘拐事件と複数の飼い猫の行方不明事件が連続して発生し、事件は混乱を極める。桐生の製薬会社での研究内容が明らかになるにつれ、事件は予想だにしない方向へと展開し…。

 

※ネタバレ含みます

初めて読む作家さんだったのだけど、最初の猟奇殺人感溢れる描写からグイグイ引きこまれて一気に読了。ミステリ、警察モノ、サイコスリラー、バディモノ、人間ドラマ、生物パニック…と様々な要素がこれでもかとばかりに詰め込まれて次々に展開していくので、息つく間もなく楽しめました。すごく色んなジャンルを書ける人なんだなぁと思ったら、「さよならドビュッシー」の著者でもあるのですね。未読だけど全く雰囲気の違う作品なので驚いた。

次々に現れるキャラクターがしっかり作り込まれていて、なんだか二時間ドラマを見ているようでした。槇畑と宮條のコンビも良かったのだけど、渡瀬と宮條のコンビ時代もものすごく見てみたいなぁ。

桐生の研究していたのは生物の攻撃性を著しく高める麻薬『ヒート』であることが判明。桐生を襲い、嬰児や猫を攫っていたのはヒート開発時に遺棄された実験動物を啄み、濃縮したヒートを取り入れたカラスだった…ということが判明するのだけど、設定が作り込まれているのでトンデモ展開にも関わらず「な、なんだってー!!ΩΩΩ」と楽しめました。

宮條は絶対に生きていると思ったので、あのままラストを迎えてしまうとは…。結局スタンバーグ社の悪事は暴かれることなく、美里は大怪我を負い、ラストでは槇畑が…という終わり方なので、後味の悪さが残ります。…と思ったら、ヒートを追う続編があるようです。こちらでは小手川くんと七尾がコンビになるのかな。スッキリしたいので早いとこ読みたいんだけど、こっちも後味の悪い終わり方だったら辛いな…。

■関連リンク

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続編はこちら。