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グラン・トリノ@新文芸坐


グラン・トリノ(予告編)

 

■あらすじ
朝鮮戦争での従軍経験を持つ偏屈な老人・ウォルトは、妻に先立たれ、愛車のグラントリノと愛犬と共に孤独に暮らす日々を送っていた。そんなある日、隣家にモン族の少年・タオ一家が越してくる。まるで文化の異なるタオ一家に苛立つウォルトだったが、ひょんなことから心を通わせるようになる。しかし、モン族のギャンググループがタオ一家に手を出し始め…。



※ネタバレ含みます

見逃がしていた大作シリーズ。新文芸坐さんのおかげで無事にスクリーンで観れました。ありがたや。

重い話なのかなぁ…というイメージがあったのですが、決してそれだけではなく、ウォルトの気心の知れた友人とのやり取りは軽妙で楽しくて、ウォルトの偏屈で頑固なだけではない別の面が垣間見えた気がします。床屋のおじさんと軽口を叩くやり取りがすごく好き。そこにタオを連れて行って男のやり取りを教え込む流れもよかったなぁ。あと、隣の家のお婆さんとの全く成り立ってないやり取りも良かったです。老婆との最後のやり取りで吐き捨てるように言った「はいはい愛してるよ」の台詞もとても良かった。汝隣人を愛せよ…。

ラストシーンでウォルトの取った行動は、あの時の自分と相手を重ね合せていたんだろうなぁ。戦場で自分は無抵抗の少年兵を打ち殺した、だからこそ奴らは絶対に撃つという勝算があったのだと思うと…。ラストに至るまでの「準備」もまた泣ける。身を清めて、大事な犬を託して、友人の元で髪と髭を整えて、スーツを整えて、そうして確信を持って臨んだんだろうなぁ。

というわけで大変に感動してラストはズビズビになってしまってもう頭痛がするレベルになりながらヨロヨロと帰宅しました。クリント・イーストウッドって映画つくるのうまいなぁ…と、今更ながらすごく思いました。派手な演出は一切なく、大仰な台詞もないのに刺さる。決して奇を衒った設定でも脚本でもないのに、感動してしまうのだ…。世界的に有名な巨匠だというのは十分に理解しているつもりだったけど、なんというかこう、これまでより近い感覚で「すごい人だなぁ」と改めて思った次第。

 

 

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