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ヒトラーへの285枚の葉書@新宿武蔵野館

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■あらすじ
1940年、第二次世界大戦中のナチス政権下のベルリンに暮らすオットーとアンナの元に、一人息子の戦士の知らせが届く。悲しみに暮れる二人だったが、ある日オットーは筆を執り、ヒトラー批判の内容を葉書に綴り街中に置くようになる。たった二人の夫婦による反政府活動は徐々に人々の目に届き、ついにはゲシュタポの捜査が二人の元に迫り始める。

 

※ネタバレ含みます

新しくなった新宿武蔵野館に初訪問。リニューアルからもう1年半も経ってしまったというのに…!前はよく通っていたんだけどなぁ。以前の雰囲気はそのまま、すっかり綺麗にオシャンになっておりました。前よりほんのちょっとだけ椅子の傾斜がついたような気がする…!水槽や展示も今まで通り素敵な感じでワクワクです。

そんな武蔵野館で観てきましたこちらの作品。ドイツ作家ハンス・ファラダの小説「ベルリンに一人死す」の映画化だそうです。原作小説では夫婦の名前が違っていたり、戦死したのは息子ではなく妻の兄弟だったり…と、映画化にあたって一部改編が為された模様。

オットーとアンナは労働者階級のいわゆる一般人。戦争により息子を奪われたことをただただ悲しく思い、極端な思想に傾倒していく社会に疑問と怒りを抱いて始めたささやかなレジスタス活動が「街中に政権批判葉書を置く」ということでした。オスカー・シンドラー杉原千畝のように大きな動きをしたわけではないし、「ヒトラー暗殺、13分の誤算」のように自らの手で世界を大きく変えようとしたわけでもなく、ただただペンを執って警鐘を鳴らしただけ。そんな二人の日々が街中にそっと置かれるハガキと共に淡々と、けれど丁寧に綴られていきます。決して派手な作品ではないけれど、ズシンと響く良作でした。

一枚、また一枚と街の人々によって拾い上げられた葉書は警察へと届けられ、その数、実に260枚以上に。捜査官が地図上にピンでプロットしていく姿は圧巻でした。届けられた全ての葉書に目を通した捜査官も徐々に考えが変わって行くのですが、ヒトラー政権というあまりに強大な相手を前に為すすべもなく…。物哀しいラストだったけれど、それでもあの夫婦は何かを為し得て何かを変えたのだと信じたい。原題の「ALONE IN BERLIN」、とても良いなぁ。

ところで、序盤の息子が戦死するシーンで、隣に座ってたおじさんがボソッと「死んじゃった…(´・ω・`)」って呟いてどうしようかと思った。ションボリする気持ちはすごくわかるんだけど、心の中で思っていてくれ…!笑

 

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