sasame-goto.

映画や本やおいしいものについて

パターソン@新宿武蔵野館

www.youtube.com

 

■あらすじ
パターソンは、自分の名前と同じ町でバスの運転手をして暮らしている。妻のローラと共に暮らし、毎日同じバスに乗り、毎日同じバーに立ち寄る変化のない日々を送っていた。携帯電話さえ持たないパターソンの唯一の趣味は、紙のノートに詩を書き留めること。穏やかに紡がれる詞と日常を綴った物語。

 

※ネタバレ含みます

 

パターソンの日々はとても平凡で、一言で説明されてしまえば退屈に聞こえるのだけど、毎日を丁寧に描くことによってなんということのない日常の美しさに気付かされる…という不思議な作品でした。

 

序盤のコインランドリーでラップの練習をする黒人さんと出会うシーンでは、もしかして絡まれてしまったりするんじゃないか…なんて思ったんですが、そんなこともなく、それどころかものすごく穏やかに「いいラップだね」「だろ?ありがとな!」的に気持ちの良い時間になって、わたしの心は汚れている…と思いました。笑

 

そんな風に序盤は何かある度に「パターソンが傷つくのではないか」と身構えてしまうのですが、月曜、火曜、水曜…と日が経つにつれて、平凡で穏やかな日々を楽しめるようになってきます。乗客の何気ない会話に目を細めるパターソンを眺めていたら、なんともホクホクとした幸せな気持ちになってきてしまいます。

 

最後に出てきた永瀬正敏演じる日本人が「ベルリン、天使の詩」の天使みたいでとても素敵でした。出演されているのはオープニングで知ったのだけど、まさかこんなに重要な役どころだとは。知っている役者さんが素敵なポジションで出て来てくれると嬉しいなぁ。

 

と、こんな素敵な映画を見たあとで申し訳ないのですが私の心は結局狭いままだったようで少々愚痴をば…。本作は武蔵野館の1番スクリーンで観たのですが、前の男性の頭がスクリーンに被って映像が見えないどころか字幕がところどころ読めませんでした…。ちなみに男性の身長は平均くらいで、わたしは女にしては高めです。これで見えないって相当数の人が見えてないのでは。構造上仕方がないとは言えあまりにひどいし、作品に対しても失礼なんじゃないかなぁ…。と思って少々もにょもにょしてしまったのでした。