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ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦@新宿武蔵野館

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■あらすじ
第二次世界大戦中、イギリス政府とチェコスロバキア臨時政府によりチェコの統治者であるドイツ軍の副総督・ハイドリヒ暗殺作戦が計画された。ヨゼフとヤンをはじめとした七名の暗殺部隊がチェコ領内に潜入し、協力者の元に身を潜めながらその機会を伺う。ついに計画が実行されるが、ナチスは壮大な報復を開始する。

 

@ネタバレ含みます

 

エンスラポイド作戦を描いた本作。恥ずかしながらこの出来事についてはまったく知りませんでした。今一番行ってみたい国がチェコということもありたいへん興味深く鑑賞。戦時中にドイツの領土になっていたことは知っていたのですが、イギリスに臨時政府が立ち上がってこんな作戦を計画していたとは知らなんだ。

 

自国を愛する若き軍人たちの日々が丁寧に描かれていました。暗殺計画を練りながらも、若さゆえに逃避したり足が竦んでしまったりする様には人間味があって、「暗殺者」のイメージとは程遠かったなぁ。ほんとうに普通の青年なのだもの…。戦争中でなければ、平穏な日々を送っていたのかもしれないと思うととてもつらい。

 

結果として、彼らは暗殺を成功(失敗と言っていい状態ではあったけど、ハイドリヒは入院先の病院で怪我に起因する感染症で死亡する)させ、ナチスから報復を受けることに。全く無関係の二つの村を滅ぼし、関係者にはさらなる凄惨な報復を行います。ヨゼフとヤンが身を寄せたモラヴェック家の人々の終焉がとてもつらかった。息子のアタはバイオリン奏者を目指す青年なのですが、暴行を加えられた上に大事な指を殴打され、バケツに入れた母親の切り落とされた首を見せられ、ついにはヨゼフたちの居場所を自白してしまうのだけど、これは責められないよなぁ…辛すぎる…。

 

そしてヨゼフとヤンたちが身を隠していた聖堂に700人ものナチス兵がやってきて、攻防の末に暗殺部隊の面々は全員が命を落とします。もうこれは助からないのだろう…と思っても、なんとか生き延びて欲しいと願わずにはいられなかったです。最後は捕えられずに自分の手で終わりを迎えることができたのはせめてもの幸福なのだろうかとも思うのだけど、現代に生きる甘っちょろい身としてはやっぱり生きてこそ、と思ってしまう。そう思えるような世界になったのもヤンやヨゼフのように戦い抜いた人達のお陰なんだよなぁ…。

 

ところで隣の席のおじさんが終始「こいつ(ヤン)のせいだよ」とかブツブツ言い出してどうしようかと思ったんだけど、このおじさん…もしかして…ヒトラーへの285枚の葉書の時にもブツブツ言ってたのと同じおじさんじゃないか…?って気付いてゾッとした。助けて!わたしの周囲がサスペンス!

 

■関連作品
エンスラポイド作戦を描いた作品二作。こちらも気になる。

暁の7人 [DVD]

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死刑執行人もまた死す [DVD]

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