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あしたは最高のはじまり@渋谷シネパレス

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■あらすじ
南フランスのコートダジュールに暮らすサミュエルは稀代のプレイボーイ。毎晩のようにパーティをして女性をはべらせて楽しんでいたある日、一年ほど前に一夜だけ関係を持ったクリスティンが現れ、サミュエルとの子供だという赤ん坊・グロリアを押しつけて去ってしまう。クリスティンを追いロンドンに向かったサミュエルだったが、クリスティンを見つけ出すことはできなかった。偶然出会った映画プロデューサーのベルニーの手を借りてスタントマンとなり、グロリアとの生活を始める。

 

※ネタバレ含みます

 

オマール・シーのクシャッとした笑顔ってとても良いですよねえ。本作でもオマールスマイルは健在。そして、愛娘のグロリアの明るさや笑顔がサミュエルにそっくりでとても癒されました。明るい性格もそっくりで本当に親子みたいだったなぁ。そんな微笑ましく愛しい親子の物語です。

 

サミュエルは最初はプレボーイのクズ男…という印象だったのですが、グロリアを懸命に育てる様を前にしてすっかりほだされてしまいました。序盤のグロリアが成長するまでの出来事を次々に描くシーンがとてもよかった!サミュエル&ベルニーの愛情がたっぷり籠っていて、グロリアがどんなに愛されていたか伝わるよきシーンでした。「パパって言った!」のくだりだけでなんだかホロリときてしまった。涙腺が弱い。

 

その一方で、クリスティンがひどすぎて…。元々精神的に不安定気味だった人がシングルマザーの育児で疲れ果ててしまったのかな…と思って同情さえしていたのですが、お、お前~~~!!!!なりふり構わずにグロリアを取り返そうとするのもまた親心なのかもしれないけど、裁判の後のDNA判定のくだりはあまりにひどい。前日に観た「ELLE エル」もなんですが、フランス映画の女性がことごとく怖い…!笑

 

グロリアのために言葉も通じないイギリスで働いて充分な地位を築いて、すてきな部屋と最高の環境を整えたサミュエル。ちょっと過剰なのでは…と思うほどだったのですが、それには理由がありました。サミュエルは病気で余命が僅かなのです――と思ったら、そこはミスリードで、実は病に冒されていたのはグロリアの方でした。まんまと勘違いしてしまった…!学校に通わせるよりもグロリアの日々を優先していた理由はこれだったのか…。これはつらい。

 

最後はサミュエルの地元であるコートダジュールに戻って暮らし、グロリアはやがて還らぬ人に…。そして、一人では勇気がなくて飛び込めなかった故郷の海を前に微笑むサミュエルのシーンでエンディングを迎えます。この海には飛び込めなかったけど、グロリアのためにスタントでビルの12階から飛び降りたサミュエルは、グロリアという宝物を胸に生きていくのでした。穏やかな表情のサミュエルに少し安堵したのだけど、でもやっぱり子供が命を落としてしまう話は悲しいなぁ…。