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映画や本やおいしいものについて

雪ノ下@池袋

パンケーキが食べたい。無性に食べたい。オシャレなフワッフワのやつではなくてまん丸いホットケーキが食べたい。ただバターとメイプルシロップのかかっただけのシンプルなパンケーキが食べたい今すぐにだアアアアアアア!!!と、発作的に思い立ってふらりと行ったこちらのお店。雪ノ下って銀座にある有名なお店よね…?池袋にもあったのかーと思って喜び勇んでお店に向かいました。

 

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どう見てもライブハウスです本当にありがとうございました。思ってたのと違うにも程が!!!!!!!ライブハウス雪ノ下へようこそとかそういうアレか??でも雪ノ下って書いてあるからここのはず…と思いながら階段を下るとそこは本当にライブハウス風雪ノ下でした。やたら広い店内の奥にはステージとアンプがあって、壁にはサングラスをかけた鹿の剥製。夜はライブハウスなのでしょうか。しかし店内のモニターに流れているのは世界ネコ歩き。カオス!笑

 

メニューは思いの外ちゃんとした喫茶店です。ほ、ほんとうでござるか…?ほんとうにここでパンケーキが食べられるのでござるか…?疑心暗鬼になりつつオーダー。ホットケーキは分厚いので焼き上がりに20分かかるとのこと。時間はたっぷりあるのでウェルカムでーす!というわけでそわそわと待機。

 

ダージリン サマーゴールド

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思いの外ちゃんとした紅茶が出てきた…!思わず動揺してしまったのだけどこの紅茶がとても美味しい~!砂糖はきび糖だそうで、普段は砂糖は入れない派なのだけど物珍しさで一杯分は砂糖ありにしてみたら、ほんのり優しい甘さで幸せ気分。しかもポットにたっぷりで、カップ4杯分もあるという大盤振る舞いです。セットだと200円引きになるので、この量で400円はめちゃめちゃお得なのではなかろうか。

 

発酵バターのパンケーキ

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きたーーーー!!!!これ!これが食べたかった!メープルシロップではなくて蜂蜜なのですが、これがみかんの蜂蜜でとても良い香りでハッピーです。バターが少ない…と思ったのですが、ほんのり香ばしくて良いバランスでした。そして外側はさっくり、中はもっちりというパンケーキのバランスが最高。ボリューム満点だったけど、最後までおいしく食べられました。分厚いから冷めにくくてずっとほかほかで味わえるのもしあわせだー。やっぱりおいしいものはホクホクが良いですな。

 

雰囲気に拘る人にはオススメできないのが残念ではあるのだけど、とりあえず紅茶だけでもめちゃめちゃ美味しかったのでまた行きたいです。店員さんも丁寧で良い接客でしたし。かき氷もとても美味しそうだったので気になる…!

 

yukinositatokyo.net

雪ノ下 池袋

食べログ雪ノ下 池袋

 

 

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦@新宿武蔵野館

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■あらすじ
第二次世界大戦中、イギリス政府とチェコスロバキア臨時政府によりチェコの統治者であるドイツ軍の副総督・ハイドリヒ暗殺作戦が計画された。ヨゼフとヤンをはじめとした七名の暗殺部隊がチェコ領内に潜入し、協力者の元に身を潜めながらその機会を伺う。ついに計画が実行されるが、ナチスは壮大な報復を開始する。

 

@ネタバレ含みます

 

エンスラポイド作戦を描いた本作。恥ずかしながらこの出来事についてはまったく知りませんでした。今一番行ってみたい国がチェコということもありたいへん興味深く鑑賞。戦時中にドイツの領土になっていたことは知っていたのですが、イギリスに臨時政府が立ち上がってこんな作戦を計画していたとは知らなんだ。

 

自国を愛する若き軍人たちの日々が丁寧に描かれていました。暗殺計画を練りながらも、若さゆえに逃避したり足が竦んでしまったりする様には人間味があって、「暗殺者」のイメージとは程遠かったなぁ。ほんとうに普通の青年なのだもの…。戦争中でなければ、平穏な日々を送っていたのかもしれないと思うととてもつらい。

 

結果として、彼らは暗殺を成功(失敗と言っていい状態ではあったけど、ハイドリヒは入院先の病院で怪我に起因する感染症で死亡する)させ、ナチスから報復を受けることに。全く無関係の二つの村を滅ぼし、関係者にはさらなる凄惨な報復を行います。ヨゼフとヤンが身を寄せたモラヴェック家の人々の終焉がとてもつらかった。息子のアタはバイオリン奏者を目指す青年なのですが、暴行を加えられた上に大事な指を殴打され、バケツに入れた母親の切り落とされた首を見せられ、ついにはヨゼフたちの居場所を自白してしまうのだけど、これは責められないよなぁ…辛すぎる…。

 

そしてヨゼフとヤンたちが身を隠していた聖堂に700人ものナチス兵がやってきて、攻防の末に暗殺部隊の面々は全員が命を落とします。もうこれは助からないのだろう…と思っても、なんとか生き延びて欲しいと願わずにはいられなかったです。最後は捕えられずに自分の手で終わりを迎えることができたのはせめてもの幸福なのだろうかとも思うのだけど、現代に生きる甘っちょろい身としてはやっぱり生きてこそ、と思ってしまう。そう思えるような世界になったのもヤンやヨゼフのように戦い抜いた人達のお陰なんだよなぁ…。

 

ところで隣の席のおじさんが終始「こいつ(ヤン)のせいだよ」とかブツブツ言い出してどうしようかと思ったんだけど、このおじさん…もしかして…ヒトラーへの285枚の葉書の時にもブツブツ言ってたのと同じおじさんじゃないか…?って気付いてゾッとした。助けて!わたしの周囲がサスペンス!

 

■関連作品
エンスラポイド作戦を描いた作品二作。こちらも気になる。

暁の7人 [DVD]

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死刑執行人もまた死す [DVD]

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ダンケルク@TOHOシネマズ新宿


映画『ダンケルク』日本版予告編 1

 

■あらすじ
第二次世界大戦、連合軍の40万人の兵士たちはドイツ軍の猛攻によりフランス北端の港町・ダンケルクの浜辺に追いつめられていた。救助を待つトミーたち兵士の目の前で、救助にやってきた船はドイツ軍の爆撃により沈められていくばかりであった。一方、イギリスでは民間船を召集した救出作戦が行われようとしていた。ムーンストーン号の船長であるドーソンは自らダンケルクへ向かうことを決め、息子たちと共に船を出す。さらに、空ではイギリス軍パイロットたちが援護のため空を駆けていた。

 

※ネタバレ含みます。

 

何やら本作はIMAX以上でないと十分な鑑賞環境ではないとのことで、TOHO新宿のIMAXで鑑賞してみました。ベストなのは大阪の4Kらしいのですが、さすがに大阪までは行けない…!大迫力の映像、かつ周囲がシネフィルっぽい方々ばかりで観賞マナーがよくてめちゃめちゃ映画に入り込める最高の鑑賞環境でした。センキューTOHO…!

 

トミーたちによる防波堤での1週間、ドーソンたち民間船による海での1日、そして、パイロットのファリアたちの空かの1時間が時に時間を遡り、交錯させながら描かれていくのですが、これが素晴らしかった…!いくつもの物語が同時進行的に紡がれて行き、群像劇というよりひとりひとり、それぞれのグループに物語がありました。すごい。

 

登場人物たちの戦争に対するスタンスも皆違っていて、兵士たちは勇敢ではあるものの不安と恐怖に苛まされていたり、息子を失った経験のあるドーソンは後悔を抱いていたり、町で暮らすドーソンの次男たちはヒロイズムに憧れていたりする。誰か一人でも限定的な「主人公」がいたら彼ら一人一人の心情には気付けなかったのかもしれないので、やっぱりこの撮り方はすごい。

 

個人的にはドーソンに一番心惹かれるものがありました。飛行機乗りの息子を亡くしたドーソンが不時着したコリンズを必死に助けようとして、沈みゆく機体に向けて全力で船を進めた時の気持ちを考えるとぐっとくる。そして、ジョージは命を落としてしまって、彼が望んでいた通り「新聞に載るような英雄」になった。ピーターはそれを少し嬉しげに眺めているのだけど、その横にいるドーソンの表情は浮かない。若いピーターにはまだ分からないのかもしれないけれど、ドーソンは戦争での死のやるせなさを知っているんだよなぁ…。自分たちの世代の始めてしまった戦争が息子たち未来の世代の命を奪っていると気付いて、その上で一人でも救いたいと洋上に出た決意を思うともうだめです。泣く。

 

そして一番アツかったのが空の二人。スピッツファイアかっこよすぎだろう…!作中のドーソンの説明を受けて「ロールスロイスエンジンなんて格好良いなぁ」と思っていたのですが、もう後半はあのエンジン音が響く度に「スピッツファイアーーー!!!!」状態でした。後に知ったのだけど、TOHOの物販でフィギュアが売られていたらしくて鑑賞後に立ち寄っていたら危なかった。絶対に買ってた。

 

そしてギブソンが辛すぎる…。トミーたちは故郷に帰るために必死に前を向いていたけれど、ギブソンは故郷を捨てるために必死にならなければならなかったんだよなぁ…。どこかの誰かの軍服を着て、イギリス軍のふりをして言葉を噤んで、そうまでして生きたくて生きたくて伸ばした手が最後の最後で誰にも掬い上げてもらえなかったのだと思うととてもつらい。ギブソンはトミーたちを何度も助けてきたのに、やるせない。でもこれが戦争なんだよなぁ。つらい。

 

そしてこの作品、ラスト1秒の衝撃がすごかったです。様々な人々からの救いの末、トミーたちが無事に祖国に帰り着き電車に揺られるシーン。無事に母国へ帰還することができて、新聞ではチャーチルが兵士を鼓舞し、英国民たちも兵士を讃える…という光景はまさにハッピーエンド。高揚した様子のアレックスを見て、自分もそんな気持ちになった瞬間、そっと目を伏せるアレックスのショットが抜かれます。たった一秒にも満たないかもしれない、そのシーンだけ目にしたら何も心に残らないかもしれない、ごく一瞬のカットで、これは大団円なんかじゃないのだと気付かされる。あのヒヤリとする瞬間がとんでもなく恐ろしかった。

 

思えばこの物語は1940年が舞台で、第二次世界大戦が開戦してから1年しか経っていなくて、あと5年間もこの戦争は続きます。救われて帰還した兵士たちはまた戦場に行かねばならなくて、そこで命を落とす人もいたのだと思うと…。救出作戦は素晴らしかった。けれど、その先にもまだ戦争は続いていく。映画として描かれた先にも、まだ戦争は存在していると気付かされるような瞬間でものすごく怖かった。出来過ぎなくらい美しく描かれたファリアのシーン(でもあれはすばらしかった…)の後に、静かな現実を突き付けるようなラストでした。

 

…あまりにもすばらしくて思うがままに書き連ねてしまった。乱筆乱文すみません。ダンケルク素晴らしかったです。単純に「面白い」とは言えないのだけど、本当に素晴らしい映画でした。でもすぐに2度目は観たくない、そんな作品でした。映画を観てから眠れないなんて久し振りの体験でした。これはしばらく引き摺りそうです。

 

ダンケルク (ハーパーBOOKS)

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  • 作者: ジョシュアレヴィーン,武藤陽生
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2017/09/08
  • メディア: 文庫
  • この商品を含むブログを見る
 

 

新感染 ファイナル・エクスプレス@新宿ピカデリー

9/20 20:50


「新感染 ファイナル・エクスプレス」予告編

 

■あらすじ
妻と別居中の辣腕のファンドマネージャー・ソグ。娘のソアンが妻に会いたがったため、早朝発の特急列車で妻の暮らす釜山へと送り届けることに。しかし、列車には人を凶暴化させる謎のウイルスに感染した乗客が乗り込み、パンデミックが発生してしまう。凶暴化した乗客で溢れる車内を逃げ惑う内、韓国全土にウイルスが広がっていることを知る。停車できないまま走り続ける車内では感染者が次々に増えていき…。

 

※ネタバレ含みます

 

すごく観たかったのになかなか時間が合わなくてやきもきしていたのですが、やっと観れました!しかもピカデリーの一番大きいスクリーン!やったー!大迫力で久し振りのゾンビ映画(正確にはゾンビとは一言も表現されていないけども)を堪能できてハッピーでした。ゾンビっていいものですね…。本作は俊敏に動けるタイプのゾンビだったので、迫力満点な映像で大満足でした。

 

一両編成(?)の車両に大量のゾンビがぶら下がるシーンは圧巻!そして、狭い車両内をゾンビたちが押し寄せる様がまたすごい!ゾンビを演じる人々のカックンカックンとした不穏な動きも素晴らしかったです。YES!ゾンビムービー!!私は満たされた…!!

 

ゾンビにばかり期待していたのですが、韓国映画らしく家族愛やヒューマンドラマがきっちり描かれていて、まさか泣かされるとは思いませんでした…。主人公のソグがとても嫌な奴でなかなか感情移入できなかったのだけど、娘を想う気持ちを目の当たりにする内に手に汗握って応援してしまいました。ソグはソグなりの愛情を持っていて、金銭面で苦労させないようにと思って頑張っていたのかもしれないなぁ…。娘を守り抜いてからのラストの笑顔がせつなかったです。

 

そして、人相の悪い強そうなオッサンがとても格好良かった!あんたがMVPだよ…!役名が謎だったんだけど名前で呼ばれてたっけな…?彼のラストの無双シーン、めちゃめちゃ格好良かったです…!愛する妻とまだ見ぬ子供の為に最後まで戦い続ける姿に痺れました。なんとか生き残ってほしかったなぁ…。そんな格好良いおっさんもいた一方で、バスのおっさんがクズすぎてバスこの野郎って思ってたんですが、最後の最後にほんとうにほんとうに怖かったんだと知って、なんだか同情してしまいました。これまでの行動が帳消しになるわけではないけど、彼だって被害者なんだよなぁ…と思ってしまったり。

 

たまたま同じ車両に乗り合せた人々の織りなす人間ドラマが素晴らしかったです。それぞれの人々の深い人物描写がなくても、極限状態ということもあって人々の本質ががっつり描き出されておりました。人間って素晴らしいなと思ったり人間って怖いなと思ったり、なんともアンビバレンス。しかし最終的には人間賛歌だったなぁ。最後のトンネルのシーン、これまでの極限状態の混乱を観てきたので、銃口が下された時はほっとしました。最後の最後に正しい判断が下されるのを前にして、きっとこの二人は生きていけると思えました。

 

それにしても終始キム代理がかわいそうだったので、キム代理には何かいいものを贈ってあげたいです(?)

 

新感染 ファイナル・エクスプレス (竹書房文庫)

新感染 ファイナル・エクスプレス (竹書房文庫)

 

 

パターソン@新宿武蔵野館

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■あらすじ
パターソンは、自分の名前と同じ町でバスの運転手をして暮らしている。妻のローラと共に暮らし、毎日同じバスに乗り、毎日同じバーに立ち寄る変化のない日々を送っていた。携帯電話さえ持たないパターソンの唯一の趣味は、紙のノートに詩を書き留めること。穏やかに紡がれる詞と日常を綴った物語。

 

※ネタバレ含みます

 

パターソンの日々はとても平凡で、一言で説明されてしまえば退屈に聞こえるのだけど、毎日を丁寧に描くことによってなんということのない日常の美しさに気付かされる…という不思議な作品でした。

 

序盤のコインランドリーでラップの練習をする黒人さんと出会うシーンでは、もしかして絡まれてしまったりするんじゃないか…なんて思ったんですが、そんなこともなく、それどころかものすごく穏やかに「いいラップだね」「だろ?ありがとな!」的に気持ちの良い時間になって、わたしの心は汚れている…と思いました。笑

 

そんな風に序盤は何かある度に「パターソンが傷つくのではないか」と身構えてしまうのですが、月曜、火曜、水曜…と日が経つにつれて、平凡で穏やかな日々を楽しめるようになってきます。乗客の何気ない会話に目を細めるパターソンを眺めていたら、なんともホクホクとした幸せな気持ちになってきてしまいます。

 

最後に出てきた永瀬正敏演じる日本人が「ベルリン、天使の詩」の天使みたいでとても素敵でした。出演されているのはオープニングで知ったのだけど、まさかこんなに重要な役どころだとは。知っている役者さんが素敵なポジションで出て来てくれると嬉しいなぁ。

 

と、こんな素敵な映画を見たあとで申し訳ないのですが私の心は結局狭いままだったようで少々愚痴をば…。本作は武蔵野館の1番スクリーンで観たのですが、前の男性の頭がスクリーンに被って映像が見えないどころか字幕がところどころ読めませんでした…。ちなみに男性の身長は平均くらいで、わたしは女にしては高めです。これで見えないって相当数の人が見えてないのでは。構造上仕方がないとは言えあまりにひどいし、作品に対しても失礼なんじゃないかなぁ…。と思って少々もにょもにょしてしまったのでした。

あしたは最高のはじまり@渋谷シネパレス

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■あらすじ
南フランスのコートダジュールに暮らすサミュエルは稀代のプレイボーイ。毎晩のようにパーティをして女性をはべらせて楽しんでいたある日、一年ほど前に一夜だけ関係を持ったクリスティンが現れ、サミュエルとの子供だという赤ん坊・グロリアを押しつけて去ってしまう。クリスティンを追いロンドンに向かったサミュエルだったが、クリスティンを見つけ出すことはできなかった。偶然出会った映画プロデューサーのベルニーの手を借りてスタントマンとなり、グロリアとの生活を始める。

 

※ネタバレ含みます

 

オマール・シーのクシャッとした笑顔ってとても良いですよねえ。本作でもオマールスマイルは健在。そして、愛娘のグロリアの明るさや笑顔がサミュエルにそっくりでとても癒されました。明るい性格もそっくりで本当に親子みたいだったなぁ。そんな微笑ましく愛しい親子の物語です。

 

サミュエルは最初はプレボーイのクズ男…という印象だったのですが、グロリアを懸命に育てる様を前にしてすっかりほだされてしまいました。序盤のグロリアが成長するまでの出来事を次々に描くシーンがとてもよかった!サミュエル&ベルニーの愛情がたっぷり籠っていて、グロリアがどんなに愛されていたか伝わるよきシーンでした。「パパって言った!」のくだりだけでなんだかホロリときてしまった。涙腺が弱い。

 

その一方で、クリスティンがひどすぎて…。元々精神的に不安定気味だった人がシングルマザーの育児で疲れ果ててしまったのかな…と思って同情さえしていたのですが、お、お前~~~!!!!なりふり構わずにグロリアを取り返そうとするのもまた親心なのかもしれないけど、裁判の後のDNA判定のくだりはあまりにひどい。前日に観た「ELLE エル」もなんですが、フランス映画の女性がことごとく怖い…!笑

 

グロリアのために言葉も通じないイギリスで働いて充分な地位を築いて、すてきな部屋と最高の環境を整えたサミュエル。ちょっと過剰なのでは…と思うほどだったのですが、それには理由がありました。サミュエルは病気で余命が僅かなのです――と思ったら、そこはミスリードで、実は病に冒されていたのはグロリアの方でした。まんまと勘違いしてしまった…!学校に通わせるよりもグロリアの日々を優先していた理由はこれだったのか…。これはつらい。

 

最後はサミュエルの地元であるコートダジュールに戻って暮らし、グロリアはやがて還らぬ人に…。そして、一人では勇気がなくて飛び込めなかった故郷の海を前に微笑むサミュエルのシーンでエンディングを迎えます。この海には飛び込めなかったけど、グロリアのためにスタントでビルの12階から飛び降りたサミュエルは、グロリアという宝物を胸に生きていくのでした。穏やかな表情のサミュエルに少し安堵したのだけど、でもやっぱり子供が命を落としてしまう話は悲しいなぁ…。

ELLE エル@渋谷シネパレス

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■あらすじ
ゲーム会社のCEOを務めるミシェルは、ある日、自宅に侵入してきた男に暴行を受ける。しかしミシェルは通報せず、何事もなかったかのように日常を送り始める。エスカレートし接触を図ってくる犯人を前にしても警察に決して届け出ないミシェル。それには、ミシェルが過去に体験したある事件に起因していた。

 

※ネタバレ含みます

 

暗転した真っ暗な画面で男女の悲鳴と呻き声だけが聞こえるレイプシーンから開始。10秒近く続いたそのシーンのインパクトは絶大でした。犯人が逃げて一人取り残されたミシェルは、淡々と部屋を片付けて風呂に入り、寿司を注文します。ハマチも追加します。涙一つ流さないミシェルは一般的に描かれる「レイプされた女性像(という表現は我ながらクソだけど)」とはかけ離れていて、一体彼女に何が…?と思わずにはいられない。さらには後日カフェで食事をしていたら見知らぬ女性に突然トレイの残飯をぶっかけられる始末。それでも全く動揺しないミシェル。

 

そんな風に「なんで?」「どういうこと?」「何があった?」が積み重なっていくのですが、過去の事件が明らかになり納得。ミシェルの父親が三十年以上前に大量殺人を行い、今もなお収監されていて、当時のニュースで画像が出回ってしまったミシェルはフランス中で顔が知られてしまっている…という非常にしんどい状態であることが明らかに。

 

やがて、レイプ犯が隣人のパトリックであることが明らかに。しかし、ミシェルはパトリックの行為を受け入れ始め、さらには親友であり共同経営者でもあるアンナの夫とまで関係を結びます。性に奔放というレベルではなくて、もしやこれは父の犯した罪の贖罪のつもりなのか…?とも思ったのですが、どうも違う。復讐劇というほど能動的でもなく、淡々と精算していくような印象でした。

 

シリアスモードで鑑賞していたのですが、フフッと笑えるシーンがちらほらと。ミシェルが防犯グッズ(コショウスプレーはわかるとして、手斧って!)を犯人に使ってボッコボコに伸す様を想像してほくそ笑むシーンとか、ミシェルの息子・ヴァンサンの妻が出産したら両親に似ても似つかない肌の黒い子供が生まれて、ポカンとするミシェルと元旦那の前で諸手を上げて喜ぶ息子、そして何故だか満面の笑顔を浮かべている友人の黒人男子だとか。地獄!

 

女性は男性は云々と分けて考えるのはあまり好きではないのですが、この映画の終盤の女性の強さが印象深い。「夫の相手をしてくれてありがとう」と言って去ったパトリックの妻、夫と別れてミシェルと並んで歩き始めるアンナ、そしてアンナと共に笑って歩き始めるミシェル。最後に笑っていたのは女性だけだった気がします。

 

すごく気になることがあるんですが、猫どこに行った…?いつの間にかいなくなってしまって気になって仕方がなかったです。チラッと映ったりしてたのかなぁ。