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マジカル・ガール@YEBISU GARDEN CINEMA


映画『マジカル・ガール』予告編

■あらすじ
白血病で余命いくばくもない少女・アリシアは日本のアニメ『魔法少女ユキコ』の大ファン。父・ルイスはアリシアの望みを叶えてやろうとユキコのコスチュームを買おうとするが、特注であるため失業中の身ではとても手が出せない。金策に走る内、バルバラという女性に出会い、金を工面するためにバルバラを脅迫することを思いつく。やがて、運命の歯車は誰もが予期しなかった方向へと回り始める。

ずっと気になっていたこちらの作品、仕事帰りにワタワタと駆け込み鑑賞。えっ何!?何これ!?というのが正直な感想。ピンク色の魔法少女という画面を見た時点で覚悟はできていた…。こういう衣装のピンクの魔法少女の物語知ってるもん…可愛い少女たちが活躍する話かと思ったら三話でマミられるやつなんでしょ知ってる…。という過去の事例から覚悟を決めて鑑賞したものの、予想を上回る展開でした…。oh…。

3つのパート『世界(MUNDO)』『悪魔(DEMONIO』『肉(CARNE)』から構成されています。1つ目のパートはアリシアとルイスのパート。2つ目はバルバラのパート。そして3つ目がダミアンのパート。後半にいくにつれてどんどん重く息苦しくなっていく展開がお見事…。画面内の誰が突然銃を取り出してぶっ放しても不思議ではない緊迫感がありました。画面上に常に何が起きるかわからない緊張感が立ち込めていて、ごく普通のシーンでもいつでも狂気が現れる可能性を孕んでいるというか…とにかく終始ゾワゾワと落ち着かなくて不安定で、言い様のない不安感が立ち込めていて、淡々とした怖さと滲み出る狂気に満ちていた。

理由は異なれど男を必死にさせた二人はある意味「魔法少女」なのかもしれないなぁ。女の子はみーんな魔法少女なのです♪っていうと可愛らしいけどそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ…。

登場する魔法少女のアニメや日本の音楽、黒いトカゲのモチーフ(つまり黒蜥蜴)で見られる通り、監督は日本文化が大好きで、特に好きなのが「乱歩とセーラームーン」と言うのだから驚きです。ちなみにYEBISU GARDEN CINEMAでは黒蜥蜴の文庫が売られておりました。

まったくの余談なのですが隣に座っていた男性がまったくわけのわからないタイミングで笑っていて怖かった…。この作品独特の静かな恐怖を感じながら隣で「ンヒッwwww」「ンフッフwwwww」とか聞こえてくるってスリルありすぎだった。

 

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そう言えば後日別の映画を観にシネマカリテに行ったところ、衣装が展示されておりました。きれいな桜と共に飾られているけど禍々しさ無限大に見えてしまう…。

 

■関連作品

黒蜥蜴

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