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ベルリン・天使の詩@早稲田松竹


日本版予告篇 / ベルリン天使の詩 (ヴィム・ベンダース)

 

■あらすじ
ベルリンの街で人間の心の声に耳を傾けながら見守り続けて来た守護天使・ダミエル。親友のカシエルとともに今日見た光景を報告し合うのを日課としていたが、サーカスの舞姫・マリオンに恋をする。ある日、ダミエルの姿は見えないが、気配を感じることはできるという不思議な人間・ピーターに出会い、人間になったらどうかと薦められる。


パリ、テキサス」に続けての上映。この回からとても混み始めてびっくりした。ぎりぎり席が足りるくらいだったかな。上映直前の時間には連番で席を取るのは難しそうだったので、三連休中は整理券になりそうです。

序盤のモノローグや会話に至るまで非常に詩的で、もしやこれはめちゃくちゃ難解なのでは…と身構えていたのですが、中盤からは心地良く観賞できました。天使が決して万能ではなく、小市民に憧れを抱くというのが微笑ましくもせつなくて、とても良い。

サーカス、撮影現場、図書館と素敵な場所が盛り沢山。わたしは図書館や本屋さん等、本が集まる場所が大好きなので、図書館のシーンがとても良かった!目の前の本や資料に没頭する人達の心の内での囁き声が、静かな筈の図書館でざわざわと響き渡っているの、すてきだー。

本人役のピーター・フォークがとてもいい味を出していました。刑事コロンボを演じる有名俳優でありながら、実のところは元天使。空から降ってきた鎧を換金したダミエルの話を聞いて「随分安く売ったねぇ。俺の時は~」なんて語るくだりが面白かった。ジョブチェンジ時には鎧下取りシステムがあるんだな…笑 そして、まだ天使だった頃のダミエルにピーターがコーヒーがおいしいことや寒い日に手を擦り合わせると暖かいことを説明するシーンが優しさに満ちていてとても良い。その後、ダミエルがコーヒーを買って嬉しそうに飲んだり、手のひらを擦って喜んだりするのはささやかながらも名シーンだったと思う。

天使の頃はモノクロだった世界が、人間になった途端カラーになるのだけど、色付いた世界で目を輝かせるダミエルがとても可愛らしかったです。人間になった直後に空から降ってきた鎧で頭を怪我して血が出てしまうのだけど、血の付いた状態で生まれる=ヒトの誕生の瞬間を表しているのかなぁ。赤ちゃんだって血まみれで生まれるもんな…なんて思ったんだけど、どうなんでしょう。

映画の最後の「かつて本当にいた天使、安二郎、フランソワ、アンドレイに捧ぐ」と出るのも余韻たっぷりでとても良い。いい作品でした。

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 ■関連リンク

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 リメイク版。未視聴なのだけど、ピーター・ホークがいないと思うとウーン…。