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麦の海に沈む果実/恩田 陸

 

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

 

 

■あらすじ
二月の終わりに北国にある全寮制の学園に編入する事になった少女・理瀬。世間から隔絶されたその学園では、生徒たちの謎の失踪が相次いでいた。音楽会場から消えた生徒、図書館から消えた曰くつきの本、奇妙な降霊会を催す校長。そんな中、生徒たちは理世に奇異の目を向ける。曰く、「二月にやってきた転入生は破滅をもたらす」――。

 

※ネタバレ含みます

「三月は深き紅の淵を」に続けて読了。「三月は深き紅の淵を」の四章目はこの作品の断章的な扱いだったのですね。同じようなエピソードが出てくるので、そういうつくりだったのかーと納得。既視感がなんとも言えず不思議な雰囲気を醸していて、理瀬の抱く不安定な感覚を追体験する体感型読書体験という感じ。

舞台設定というか、独特の世界感がとても魅力的でした。閉鎖された学園と様々な謎なんて惹かれるに決まってる…!でも、様々な学園や人物の謎が次々に現れた序盤に比べると、ラストの展開が急すぎたような…。解決されていない謎や伏線も多く、そのまま続編に引き継がれるようなので少々消化不良気味です。恩田陸作品は不思議な世界感や魅力的なキャラクターがとても素敵なのだけど、いつも投げっぱなしで終わってしまうような印象がある…。

個人的には校長のキャラクターが好きでした。あのジェンダーレス感が素敵に無敵。後続の作品にも登場するのかなぁ。続編は「黄昏の百合の骨」でしょうか。こちらもkindleには入れてあるのでおいおい読みたいと思います。

■関連リンク

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

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黄昏の百合の骨 (講談社文庫)

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