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■あらすじ
名門音楽大学に入学したドラマーのニーマン。偉大なドラマーになるべく邁進していたニーマンの元に、大学内で最高の指揮者であると称されるフレッチャーがやって来る。そんなフレッチャーの主催するスタジオバンドに招かれたニーマンは有頂天になるが、ニーマンを待ち受けていたのはあまりに厳しい練習の日々だった。

 

※ネタバレ含みます


あの有名なファッキンテンポおじさんが出てくる話でしょ?と軽い気持ちで鑑賞したら、えらいものを観てしまった…。すごく厳しい先生だけどその厳しさは教え子のためだった…なんてそんな甘っちょろい物語ではなかった。常人には全くついていけない、狂気と狂気の戦いでした。

 

学生たちを恫喝し、時に暴力さえも厭わないフレッチャーの指導はもはや狂気の沙汰。それでもついていく学生たちも本気なのだけど、その中でもニーマンはフレッチャーの一線さえも次々に越えて行きます。事故に遭って血まみれになろうがドラムを叩き続けるのは、フレッチャーに近いどころかフレッチャーさえも凌駕する狂気を見せておりました。

 

フレッチャーの指導において、家族や出自や差別用語を含む言葉で侮辱することも、怪我をした状態で演奏を続けさせることも、怪我をさせかねない行為(椅子を投げつけたり)を働くことも、指導者としてまったく理解できないと思ったのだけど、フレッチャーにとっては「"今"最高の演奏をする」という状態を続けることにこそ意味があって、その『今』が持続することにより永遠の最高の奏者となりえるという考えだったのかなぁ。ゆえに妥協は一切許されないし、ましてやテンポや音程の乱れなど死に値するのかも。

 

元教え子の「自殺」を「事故」だと表現していたのも、フレッチャーにとってはそういう感覚だったのだろうか。後にニーマンと再会した際に「自殺」だと断言していたんですが、それはニーマンを試すためにそう言ったのかなぁと。ニーマンは「事故」だと思ってるはずなのに「自殺」に反応しなかったので、当時何があったのかを知った=密告した、という流れ…でよいのかな。…ちょっとわたし鈍すぎます?ヘッヘッヘおっさんの怖さにビビりすぎて頭が回らねえんだ…。

 

フレッチャーがニーマンと再会してから自身のバンドに誘う際、「知ってる曲だから当日来れば良い」という誘い方をした(ニーマンに曲目を教えないためだったのだけど)のが気になっていたんですが、音楽に対してそんな扱いをして、さらにはステージをぶち壊しにしてまでもニーマンに絶望を与えたかったのだと思うとフレッチャー怖い。しかしそれを音で乗り越えたニーマンもさらにすごい。もう何なのこの二人わけわかんねえ…わけわかんねえよ…高次元すぎるよぉ…。

 

ラストの9分19秒は圧巻の一言。狂気じみた才能を持つ者二人の戦い、とんでもなかったです。とんでもねえ…と思っている内にフツッと終わって放り出された感がすごい。なんだかまだ消化しきれていない気がするのでとても語りたい。だ、だれか…!

 

ところで一緒に見てた友達が「この恋愛の描き方がララランドの監督って感じがする」って言ってて笑った。確かに…笑

 

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『セッション』オリジナル・サウンドトラック

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