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ガール・オン・ザ・トレイン@シネ・リーブル池袋


映画『ガール・オン・ザ・トレイン』予告編

■あらすじ
夫と離婚し、失意の日々を送るレイチェルは、通勤電車の車窓から見える家に住む夫婦を眺めるのを日課にしていた。まさに理想の夫婦の二人を見ながら幸福な生活を想像するのを楽しみにしていたが、ある日、その夫婦の妻の不倫現場を目撃してしまう。さらにその妻は行方不明となり、死体となって発見される。現場付近に足を運んでいたレイチェルに疑惑の目が向けられるが、アルコール依存症のレイチェルは記憶が曖昧で、当時の状況を思い出すことができない。一体、レイチェルは何を見たのか――。

 

 渋谷での「幸せなひとりぼっち」からハシゴして観賞。11月頃に別の劇場で上映されていたものの、タイミングが合わず見逃していたのでありがたや~。新春早々縁起が良い。

主人公であるレイチェルがアルコール依存症で記憶が不確かな中で物語が進んでいくため、レイチェル本人さえも最後まで容疑者で在り続けるという新感覚アル中ミステリ。レイチェル、『理想の夫婦』の妻・メガン、レイチェルの元夫の妻・アナ、それぞれの3人の視線でエピソードが語られ、それぞれの抱える問題を描きながら物語が進んでいき、やがて事実が明らかに。男女6人の織り成す人間模様がラストに向けて収斂行く様はお見事でした。

主人公レイチェルのアルコール依存症が思っていたよりかなり深刻な状況で、ドリンクボトルにお酒を移し替えて駅で座り込んでチューチュー吸うシーンがめちゃくちゃが怖かったです。中盤で過去の行動が明らかになるとレイチェルに対して「これは実のところ殺ってしまっているのでは…?」と疑念を抱く始末。大晦日から元旦、2日とだらだらと呑み続けていたのだけど、思わず今日だけ自重しました。笑

これは完全にネタバレになるんですけどTom is Kuzu!!!!!!!!!!!!!トムはクズです(中学英語)!!!!!!!!の一言に尽きる…。どこまでもクズを更新していくトムの快進撃が止まらない。やっておしまいレイチェルさん!と思いきやアナのとどめが凄かった。アッそんなに…そんなに回すの…アッまだ回すの…お、おう…。最後にレイチェルとアナが視線を合わせたシーン、良かったなぁ…。

ゴーン・ガール」も見逃してしまっていたのだけど、本作が好きなら絶対に最高だと聞いてとても気になっている。観たい。

 

 ■関連リンク

ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)

ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)

 
ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)

ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)

 

原作本。


映画『ガール・オン・ザ・トレイン』特別解説映像“山村紅葉のサスペンスあるある講座”​

山村紅葉がサスペンスあるあるを解説する謎動画。開始秒の振り返り45度でもうだめだった。

 

幸せなひとりぼっち@ヒューマントラストシネマ渋谷


不機嫌じいさんが…!映画『幸せなひとりぼっち』予告編

 

■あらすじ
スウェーデンの集合住宅に暮らすオーヴェ。厳格で偏屈なオーヴェは、毎朝の「見回り」を日課にしていた。私道への自動車の乗り入れやゴミの分別、犬の散歩に至るまで、違反者は容赦なく怒鳴りつける。そんなある日、長年務めた勤務先をクビになってしまう。妻の墓に後を追うことを告げたオーヴェは自殺を決意するが、騒がしい住人たちのせいでなかなか実行に移せない。果たして、オーヴェの人生の行く末は…?

 

冒頭のレジ係にクレームをつけるシーンでのオーヴェの第一印象は、一言で言えば「厄介な老人」。こういう爺さん嫌だなあ…きっと嫌われているのだろう…と思いきや、同僚は気さくに話しかけているし、近所の人々も明るく声をかけている。何故?と思ったら、隣人の引っ越しをうっかり手伝って自殺に失敗してしまったり、なんだか妙に憎めない。徐々に微笑ましくなってきてしまう始末。

そして話が進むにつれて明らかになっていくオーヴェの過去。両親との別れ、生家の消失、失ってしまった友情、そして最愛の妻との別れ。どんな出来事が今のオーヴェを作り出したのか明らかになるにつれ、オーヴェの不器用さや実直さを知り、偏屈爺さんがどれほど愛すべき人物か思い知る…という流れがとても自然で凄く良い。

オーヴェはもちろん、ご近所さんたちがユニークなキャラクターが多くてとても微笑ましい。「デブの保温力」のシーンが最高でした。そしてねこがかわいい。大事なことなので二回言いますがねこがかわいい。あと、オーヴェがゲイや移民には決してそのことに対して辛く当たったりしないのもとても良かったです。オーヴェはそんなことより車の乗り入れやゴミ出しのルールの方が重要なのだ。そんなところが可笑しくて優しくて、とても良い。

最後の瞬間までオーヴェの根底にあるものは何一つ変わらないというのが凄く良かった。これまで出会った人から教わったことを不器用に一途に貫くオーヴェが切なくてやがて愛し。オーヴェの人となりを知った観客だからこそ、あのラストが染み入るのだろなぁ…。

車には明るくない(というか真っ暗闇)なもので、サーブとボルボのくだりがよくわからなかったのだけど、サーブVSボルボは一昔前ではスウェーデンの二大自動車メーカーでライバルだったそうです。そこを踏まえて見ると、オーヴェと古き友人とのやりとりがますます面白くなるなぁ。

決して派手ではないけれど、素晴らしき良作でした。この映画が2017年の初映画で良かったです。幸先の良いスタートになりました◎

 

■関連リンク

幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)

幸せなひとりぼっち (ハヤカワ文庫NV)

 

 原作本。映画にないエピソードも入っているようなのでたいへん気になる。

沈黙博物館/小川洋子

 

沈黙博物館 (ちくま文庫)

沈黙博物館 (ちくま文庫)

 

■あらすじ
小さな村に招かれた博物館技師が依頼されたのは、死んだ者たちの形見を集めた博物館を作ることだった。依頼主の老婆とその養女たちとともに、技師は形見の収集を開始する。耳縮小手術の専用メス、シロイワバイソンの毛皮、でたらめな文字列がタイプされた紙…死者が出る度に様々な形見を集めていたある時、村で連続猟奇殺人事件が起こる。


kindleにて。

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ミュージアム@シネ・リーブル池袋


映画『ミュージアム』×ONE OK ROCK 特別予告【HD】2016年11月12日(土)公開

 

■あらすじ
被害者が犬に食われる「ドッグフードの刑」出生時の体重の分の肉が切り取られる「母の痛みを知りましょうの刑」…凄惨な現場にメモが残される猟奇殺人事件が発生する。事件を追う刑事の沢村は、自分の妻子も犯人に狙われていることを知る。妻子を守ろうと奔走する沢村だったが、犯行は止まず、ついに妻子の元にも犯人の手が伸びる。

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裸足の季節@早稲田松竹


映画『裸足の季節』予告編

■あらすじ
イスタンブールから1000キロ離れた小さな村で暮らす五人姉妹は、早くに両親を亡くし祖母の元で育てられていた。美しく成長した姉妹だったが、彼女たちの自由な振る舞いが厳格な伯父の逆鱗に触れ、家に閉じ込められてしまう。封建的な村の思想の元、一人、また一人と伯父の決めた結婚相手の元へ嫁がされていく。末っ子のラーレはそんな状況に反発し、家からの脱出を試みる。

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すれ違いのダイアリーズ@早稲田松竹


『すれ違いのダイアリーズ』予告編

 

■あらすじ
新任教師のソーンが配属されたのは、電気も水道もない奥地にある水上学校だった。慣れないながらも必死に日々を送っていたある日、前任教師のエーンの記した日記を発見する。自分と同じように寂しさや悩みを抱えながらも奮闘するエーンの姿に共感するうち、ソーンは姿を見たこともないエーンに恋していき…。

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