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スプリット@池袋ヒューマックスシネマズ


『スプリット』本予告

 

■あらすじ
クラスメイトのクレアの誕生日パーティに招待された女子高生のケイシー。ケイシーに迎えが来ないのを心配したクレアの父親は、クレアの親友のマルシアと共に車で送ることにする。荷物を整理する父親を社内で待っていた三人だったが、突然助手席に見知らぬ男が乗り込んで来て、地下室に監禁されてしまう。密室で目を覚ました三人の前に再び現れた男は、どうやら多重人格者らしい。男の目的とは一体何なのか――。



※ネタバレ含みます

多重人格者によるサスペンス。そしてシャマラン監督なんて最高の組み合わせです。ケイシーの過去の映像と並行して物語が進んでいくので、過去に何があったのか、過去の出来事とこれから迎える展開はどのように繋がるのか…と考えながら見るとワクワクでした。すごく面白かった~!

ケイシーの落ち着きっぷりが不思議だったんだけど、虐待を受けていたとは…。それを踏まえると、最初にクレアが男に部屋の外に引きずり出された時の「おしっこしちゃえ」は自身の経験譚だったのだなぁと。相手を刺激しないように努めるのも、すべて虐待から得た対応だったんだなぁ…と思うとせつない。

お父さんから狩りの教えを教えられるシーンは最後にビーストを撃ち殺す時に活きてくるんだろうな…などとベタなことを考えていました。しかし実際はケイシーは叔父から虐待を受けており、その傷跡(自傷痕)に気付いたビーストが「お前は俺と同じだ」としてケイシーを逃すという流れ。これからケイシーはどうなってしまうのだろうと思ったのだけど、これまでに銃口を向けた叔父もビーストも殺せなかった彼女は、一線は超えないような気がします。その代り、彼女なりのやり方で戦えるようになったんじゃないかなぁ…と、最後の女性警官に向けた視線を見て思った次第。幸せになってほしいよぉ…。

ラストの警官が踏み込むシーン、歯ブラシや服のラックなどに生活感が滲み出ていて、それぞれの彼らが確かにここに存在していたということがありありと伝わって来て泣けた。歯ブラシが陽射しに照らされているところがなんだかやけに印象深い…。そして迎えたエンドロールで、メインとなるエンドロールの背後に24分割になった同じ映像が流れていて鳥肌でした。「多重人格の一人の男」の物語ではなくて、「二十四人の人間の物語」だと言っているようで、あのエンドロールとてもよかった。

そして何より本作、マカヴォイの演技がすごい。とんでもねえ。序盤の切り替えもすごかったんですが、終盤のケイシーがケビンの名前を出して以降の切り替わりがすごかった。ラストの鏡の前で話すシーンも、完全に別人のように表情が変わっていくのがすごい。目の光さえ変わるのすごすぎない?ケビン、バリー、デニス、パトリシア、ヘドウィグ、そしてバリーのふりをしてるデニス…と演じ分けが完璧ですごい。英語が分からなくて口調から判断できなくても別人だって分かるのが本当にすごい。役者さんってすごいなぁ…。

残念だったのは「アンブレイカブル」未視聴のためところどころ理解が追い付かなかったということ…。最後に出てきたダンはアンブレイカブルの主人公なんですね?電車で花を手向けていたのは「アンブレイカブル」で起こるという列車事故と関連があるのかなぁ。とにかくグラスまでにアンブレイカブルを観なければ~!ちらっとあらすじを確認してみた限りめっちゃ面白そうな気がする。

 

 

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