■あらすじ
ウィルスのパンデミックにより人類のほとんどがゾンビのような「ハングリーズ」と化した近未来。フェンスに囲まれた軍事施設では、ウィルスに感染しているにも関わらず見た目に変化がなく比較的自我を保ち続けることのできる子供達が収容され、ワクチンを作るべく研究されていた。そんな新世代の一人であるメラニーは、子供達の中でも特別な才能を持っていた。
※ネタバレ含みます
さ、最高に面白かった…!ゾンビ映画というよりSF映画なのではないかなぁ。でも、もはやジャンル分けなんてどうでもいいってくらい面白かったです。
序盤に世界設定を細かく語らず、見せるだけの演出に留めるので自然と設定が理解できて、うまいこと物語に入り込めました。「これはどういうことなんだ…?」と思っていたことが、少し後になって「あぁなるほど、そういうことだったのか」と腑に落ちる…という見せ方が上手い。ガイドが自然というか、説明がましくないのがとても良かったです。初めて外の様子が映った時は「アーーー!!!そういうことになってるからなのねーーーー!!!!これはヤバイ」と事態を把握できました。
メラニーと先生の関係性が良かったな~。教師と生徒とも、疑似母娘とも違う独特の関係性で、二人の間に漂う信頼や思慕の気持ちが素晴らしかった。壊れそうで壊れないバランスの、そこはかとない儚さも良い…。これはこれで愛だ。それはもううつくしい愛なのだ。
そして何よりこの作品、ラストが素晴らしい。そもそもこの出来事は人間VSウイルスの攻防ではなく、メラニーたち第二世代への世代交代、つまりは進化であって、旧世代の人間は淘汰されたに過ぎないのかもしれない…と思うと、なかなかに趣深い。それでもメラニーは先生を「大事にする」というのがまたなんとも良い。
「先生」のいるちいさな箱庭を取り囲むのは果たしてディストピアなのかユートピアなのか。いやはや素敵なお話でした…。
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