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キサラギ/相田冬二

 

キサラギ (角川文庫)

キサラギ (角川文庫)

 

 

■あらすじ
自宅マンションに油を撒いた焼身自殺でこの世を去ったD級マイナーアイドル・如月ミキの一周忌。ファンサイトの掲示板に書き込みをしていたファンたちが集い、偲ぶ会を開くことに。主催の家元を中心に、オダ・ユージ、スネーク、安男、いちご娘。の5人が集まったが、如月ミキの死因は自殺ではなく他殺だと言い出す者が現れる。徐々に当時の状況が露わになり、男たちの正体が明かされる内、如月ミキの死の真相が明らかになり…。

 
@ネタバレ含みます。

札幌行きの飛行機の中で読了!空の読書は気持ちがいいなぁ。映画をノベライズ化した作品です。主人公・家元の一人称で進んでいくため、原作映画は鑑賞済でしたが、また少し違う印象で楽しめました。サクッと軽く読めるよき一冊です。

舞台となるのは密室で、会話劇からアイドル自死の真相が明らかになる…という流れ。これがミステリとしてとても面白い!参加者それぞれの立場が明らかになり、如月ミキとの接点やそれまでの行動が断片的に明らかにされていき、最後にそれが集約されて真相に辿り着く…というとシンプルなのだけど、オタクたちのキャラが濃いのでインパクト十分。次々に衝撃の事実が判明していく様はなんだかコミカルでもあり、人の死が関わっているのにクスッときてしまいます。

わたしも元々ジャニオタだったので、オフ会で集うオタクたちの謎の一体感めっちゃ分かる…と懐かしくなり、それぞれが懸命に如月ミキを想う気持ちに謎の感動をして涙してしまった。オタクとアイドルの関係性ってすごく良いですよね…清く尊い…。真相を知るために交わす会話の端々にも、如月ミキがどんなに魅力的な女の子で彼らがどれほど如月ミキを愛していたのかが滲んでいてとてもよかったです。必死なオタクは美しいな…。

映画を観た時にも思ったんだけど、やっぱりラストの「シシド・ジョー」の登場は蛇足だったなぁ。小説版だとさらに家元がボールペンで刺されたストーカーということが匂わされていたり、このくだりは必要なかった気がする…。と思ったら、どうやら劇場版2を作成する予定で挿入されたシーンだったのだとか?結局立ち消えてしまったそうなのですが、つくるとしたらどんな感じだったのだろう。ちょっと気になる。

■関連リンク

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